【目的】日本の視覚障害認定基準は、以前からさまざまな問題が指摘されている。そこで今回、米国American Medical Associationが推奨しているFunctional Vision Score(以下 FVS)と比較し評価の妥当性を検討した。
【対象及び方法】対象は、2012年11月~2013年5月に大阪医科大学附属病院 眼科を受診し、日本の認定基準を満たし検査可能だった150例、年齢は23歳~93歳で平均67.7±11.3歳。方法は、片眼及び両眼開放視力、Goldmann視野(Ⅲ/4eを含む)を測定し、日本の視覚障害等級とFVSを比較した。
【結果】日本の視覚障害等級に区分された症例の各FVS値の中央値は、1級4.0、2級16.7、3級38.9、4級26.0、5級50.7、6級58.2で、3級と4級で逆転が見られた。また、日本で5級の症例がFVSでは最重度の障害に判定される例があった。日本の基準とFVSの間には、視力に関して高い相関がみられたが、視野では視力に比べて低い相関となった。
日本の認定基準について両眼視力の和ではなく、両眼開放視力を用いて判定すると、18.6%の症例で等級が重くなる結果となった。
【結論】日本の判定基準は、視野、特に求心性視野狭窄の判定方法に問題があると考えられた。
また、視力を両眼の和で評価するために、実際には重度の視機能障害があっても軽く判定されることも問題であると思われた。
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