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クエリ検索: "種子島医療センター"
32件中 1-20の結果を表示しています
  • O-097 成人中枢神経③
    鬼塚 楓, 山口 純平, 早川 亜津子
    九州理学療法士学術大会誌
    2023年 2023 巻
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/11
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】 今回、左脳幹部アテローム血栓性脳梗塞を呈し意識レベルの低下と体幹・股関節周囲筋の筋活動低下により姿勢アライメントに崩れが生じ経口摂取獲得に難渋した症例を担当した。先行研究において円滑な摂食・嚥下を行うためには、安定した座位保持や頭頸部および上肢の自由度、体幹・下肢を含めた全身協調運動が必要となると報告がある。そこで、意識レベルの向上・座位保持能力の改善を目指すことで経口摂取の獲得が可能となると考え、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)で行った工夫と成果について報告する。

    【症例紹介】 85歳女性。身長155.0 ㎝。体重49.3 ㎏。

     入院前ADLは食事自己摂取可能、車椅子移動・排泄・入浴は一部介助レベルであった。

     令和4年8月X日、左脳幹部アテローム血栓性脳梗塞を発症した。既往歴として、アルツハイマー型認知症がある。X+1日より理学療法を開始した。X+5日Covid-19発症し、X+15日までは理学療法は非実施であった。X+15日より回復期リハ病棟転棟し、理学療法を再開した。

    【アプローチ前経過】 初期評価としてはJCSⅡ-30~Ⅲ-100, Brunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)右上肢Ⅱ手指Ⅰ下肢Ⅱ、高次脳機能障害が認められた。筋緊張(R/L):ハムストリングスMAS(3/3)。立ち直り反応は頸部・体幹左右ともに陰性で、抗重力肢位での自立保持は困難であり、端座位は全介助レベル。食事場面では食塊を口にため込み嚥下に時間を要し40分で0.2割程度の摂取量であった。藤島摂食状況レベルLv2。本症例は経口での食事摂取量低下により、X+18日より3食経管栄養となった。X+34日より昼食のみ経口摂取再開したが、食事量増加に至らなかった。症例では、筋緊張亢進による両内側ハムストリングスの短縮しており、両骨盤後傾位、両膝関節屈曲位、麻痺側体幹筋の収縮が低下することで、不安定な座位姿勢となり嚥下困難となっていたと考えた。

    【アプローチとその後の経過】 離床時には血圧が低値でX+31日に医師による服薬調整を実施し、離床機会の拡大に繋がった。X+34日より体幹筋賦活を図り、リーチ動作練習を行った。また、股関節周囲筋・体幹筋活動の賦活、足底感覚入力を図り、立位保持練習、荷重練習、起立練習を段階的に行った。X+36日より食事摂取量も徐々に増加し、3食経口摂取となった。食事時間平均40分で5割摂取。X+42日よりリクライニング車椅子にて食事摂取開始。頸部・体幹の立ち直り反応が出現し、抗重力姿勢で頚部・体幹の保持が可能となる。X+56日にはBRS右上肢Ⅲ下肢Ⅲ、嚥下状態は藤島摂食状況レベルLv7となる。リハビリ場面ではスタンダード車椅子に乗車し食事摂取開始。X+70日より実際のADL場面で車椅子座位での食事摂取機会拡大を目的に、食事姿勢やポジショニング、介助方法を作業療法士・言語聴覚士と検討し、病棟スタッフへ共有した。これらの結果、毎食車椅子座位にて食事摂取可能となった。X+100日には食事は車椅子座位にて食事時間平均25分で10割摂取が可能となった。

    【考察】 車椅子座位での経口摂取を目指し、意識レベルの向上、座位保持能力の獲得、座位の耐久性向上を図った。座位保持能力の獲得のため、起立練習、立位保持練習、荷重練習を行なった結果、端座位での抗重力肢位の保持が可能となった。さらに、食事姿勢を検討し、骨盤中間位へ誘導した姿勢により、車椅子座位の安定性向上と上肢の操作性向上へと繋がった。食事姿勢や介助方法、ポジショニングを病棟スタッフへ指導し車椅子座位での食事機会拡大することで、座位耐久性の向上に繋がった。その結果、座位での経口摂取が可能となり、摂取量も安定したと考える。

    【倫理的配慮、説明と同意】 当院の医の倫理審査委員会の承諾を得(R4-22-2号)、患者・家族に書面を持って同意を得る。

  • 右前頭葉脳動静脈奇形による脳出血を発症した一症例
    *甲斐 瑞生, *早川 亜津子, *駒柵 宗一郎, *髙尾 尊身
    九州理学療法士学術大会誌
    2021年 2021 巻
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/03
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】

    種子島医療センター
    (以下、本院)では急性期病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟・訪問看護ステーション野の花にてリハビリテーションを提供し、さらに介護老人保健施設(以下、わらび苑)も併設している。対象の患者様はこどもさんから超高齢者で年代も様々で急性期から回復期、生活期の病期の方々へトータルリハビリテーションが可能です。また急性期担当理学療法士(以下、PT)と回復期担当PT・訪問担当PT 間での情報共有が可能であり、回復期・生活期の患者様の経過を急性期担当PT とフィードバックすることができる特徴がある。今回、重度脳卒中患者に対して本院の特徴を活かした介入を行うことで自宅退院が可能になった一症例を担当したので報告する。

    【症例紹介】

    71 歳男性 身長170.1cm 体重56.1kg 診断名:右前頭葉能動静脈奇形 入院前:妻と2 人暮らし。独歩でIADL 自立 趣味:ドラム演奏 現病歴:R2.10.X 朝浴室で倒れているのを発見。呼吸停止していたため救急要請しCPR開始。心拍・呼吸再開し当院搬送後、脳動静脈奇形からの右前頭葉皮質下出血と診断。<退院前レベル> JCS I -2、常食摂取、FIM38 点(運動27 点・認知11 点)SCP2.75 点 TCT62 点 FACT5 点

    【経過】

    X 日開頭式血腫除去術 X+16 日リハビリテーション開始 X+75 日脳動静脈奇形摘出術・骨形成 X+110 日回復期リハ病棟へ転棟 X+211 日自宅退院予定

    【介入方法】

    期間:X+7 日~ X+211 日(予定)介入時間:6 単位以上/ 日(週7 日) 連携:回復期転入前から急性期担当PT より数回にわたり申し送り実施。回復期転入後も状況に応じて家族・担当介護支援専門員(以下、CM)・医療ソーシャルワーカー(MSW)・訪問担当PT・わらび苑担当PT へ随時連絡を行う。

    【介助方法(家族・セラピスト指導)】

    退院調整を開始したX+187 日:妻へ移乗動作指導。X+190 日:訪問担当PT へ移乗動作指導。X+201 日:わらび苑担当PT へ電話にて申し送り実施。X+211 日(退院日):本症例自宅での担当者会議にリモートにて本院より急性期担当PT・回復期担当PT/OT/Ns・MSW 出席し経過を含めた情報共有行う。

    【結果】

    本院の特徴を活かすことで自宅退院が困難と言われている脳卒中患者1)でも家族と病院側の意向に相違なく関わることができ自宅退院を目指すことが可能となった。

    【考察】

    本院は、病期に伴う転院がないため本人・家族の意向を含めた情報共有がスムーズに実施され、転入前・退院前から担当間での情報共有や介助方法統一が可能であった。さらに本症例は退院後家族での介助が不安であったが訪問担当PTに相談し、退院日から訪問リハビリテーションを利用可能に調整できたことも今回自宅退院が可能になった要因と考える。

    【おわりに】

    今後も本院の特徴であるトータルリハビリテーションを島民の方々へ提供し、急性期・回復期・生活期のセラピスト間での情報交換を積極的に行っていきたい。コロナ渦で外出や外泊の制限がある中でも、リモートなど利用し出来る限り最大限の退院支援を更に行っていくことが必要と考える。

    【参考文献】

    (1)岡本 伸宏・増見 伸・他:回復期リハビリテーション病院におけるFIMを用いた自宅復帰因子の検討;理学療法科学27(2),2012

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究の計画立案に際し、事前に

    種子島医療センター
    の倫理審査委員会の承諾を得た( 承認番号R3-1 号)。また研究の実施に際し、対象者に十分な説明を行い、同意を得た。

  • アライメントの改善による影響と術後経過の予測
    *田脇 瑠奈, *早川 亜津子, *甲斐 瑞生, *前田 昌隆
    九州理学療法士学術大会誌
    2021年 2021 巻
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/03
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    活動性の高い変形性膝関節症の関節温存術として、一般的に高位脛骨骨切り術が行われている。しかし矯正角度が大きい場合、生理的な膝関節面の傾斜に近づけるDouble Level Osteotomy( 以下DLO) が近年報告されている。今回、DLO が適応となる症例の術後急性期に担当させていただく機会を得たが、DLO術後の理学療法の内容や経過についての報告は少ないのが現状である。その為手術による侵襲やアライメントの変化が膝関節可動域や歩行へ及ぼす影響の考察を行い術後の経過を予測し介入することで良好な経過を得られた為、以下に報告する。

    【症例】

    46 歳女性 身長158cm 体重79kg診断名:右変形性膝関節症職業:事務職 趣味:バレーボール手術:右DLO(X 日)X 線画像所見:術前FTA186° /182°% MA2%術後FTA172° /182°% MA62.5%

    【理学療法の介入方法】

    DLO は二か所の骨切りを行うため侵襲範囲が広く、炎症や侵襲組織の修復過程により疼痛や癒着をきたすことが懸念される。それに加え、大腿部骨切り時に腸脛靭帯や外側広筋を侵襲していることやFTA の急激な改善で鵞足やMCLの伸張されることは膝関節ROM 制限因子となり得た。その為、炎症に対しクーリング指導、癒着予防や軟部組織の柔軟性改善を目的にストレッチ・軟部組織モビライゼーション・ROM 運動を実施した。また、脛骨長軸の延伸により腓腹筋が伸張され足関節背屈制限をきたしていることや下肢の相対的な位置の変化に対応しなければ跛行や矯正損失をきたす可能性を予測した。免荷期間の機能低下予防・ROM 拡大に加えて視覚フィードバックを用いた動作練習を行った。

    【理学療法の評価】

    ・初期評価X+1 日→最終評価X+7 日炎症所見:右膝関節腫脹+→± 熱感+→±疼痛:運動時NRS7-10 → NRS0-1ROM-T:右膝関節屈曲45° P → 125° 伸展-5°→ -3° 右足関節背屈5°→ 10°MMT:右膝関節屈曲2 → 3 以上 伸展3 以上→ 3 以上周径:膝蓋骨上縁(0cm)52.0cm → 51.0cm (5cm)55.0cm → 53.0cm 下腿最大43.5cm → 42.0cm

    【考察】

    初期評価では術創部を中心とした疼痛が著明であったが、服薬・アイシング指導により疼痛コントロールは良好となった。DLO は大腿骨に対する生態学的安定性が低く、過度な膝関節可動域運動や荷重は矯正損失やヒンジ骨折の危険性がある。その為、関節可動域運動のハンドリングでは骨切り部への剪断・回旋ストレスに注意し、積極的な関節可動域運動より手術侵襲やアライメントの改善による影響を予測した介入を行うことで関節可動域の拡大を得ることできた。そして、急性期以降の円滑な荷重・歩行へ繋げることができたと考える。結果として、回復期リハビリテーション病棟へ転棟後も安静度に準じ良好な経過を辿り職場復帰へと繋がった。

    【まとめ】

    本症例の介入を通してDLO 術後急性期より手術侵襲やアライメントの改善による影響を予測し介入を行うことで疼痛軽減や関節可動域の拡大を得ることができ、急性期以降の良好な経過に繋がり重要であると感じた。そして、DLOへの理学療法介入の一助となると考える。

    【倫理的配慮,説明と同意】

    当院の医の倫理審査委員会の承認を得て(第R-33 号)、患者に書面をもって同意を得た。

  • ~「病気に勝動」を通してみえてきたもの~
    *中村 裕二, *西 愛美, *八木 通博, *福島 佑, *田島 拓実, *前田 徳亮, *田上 めぐみ, *早川 亜津子, *酒井 宣政, *猿渡 邦彦, *髙尾 尊身
    九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
    2016年 2016 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/22
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    種子島の高齢化率は約33.8%であり、人口の減少と並行して高齢化率は年々増加傾向にある。当院では、平成27年1月より種子島唯一の地域包括ケア病棟を開始した。開始以前より離床促進、廃用症候群予防を目的に取り組み、個別訓練と併せて目的プログラム「病気に勝動」を開始した。今回、「病気に勝動」に参加することで患者自身に起こった変化に関する調査・分析を実施し、若干の考察を得たためここに報告する。

    【方法】

    1.対象

    期間は平成27年7月から10月。当院地域包括ケア病棟に入院中で「病気に勝動」の参加者(参加者数平均:14名)のうち、勝動内容を覚えており「はい・いいえ」の返答ができる74名(男性15名、女性59名、平均年齢82.3歳)を対象とした。

    2.評価・分析

    「病気に勝動」に取り組むことによって参加者に起こる変化について、レクリエーション協会監修のレクリエーション評価スケール1)を簡略化したものを勝動評価スケールとして用い検証した。スケールは、①関わり、②社会性、③精神面の3つの大項目から構成され、各大項目は3つの小項目を含む。小項目について「はい・いいえ」の2択で回答し、「はい」を1点、「いいえ」を0点とした。勝動への初回参加時(初期)と退院時(最終)にスケールによる聞き取り調査を実施し、初期と最終との変化を標本一対のt-検定を用いて分析を行った。

    【結果】

    勝動評価スケールの検証結果

    関わりの項目で、初期は平均2.61点、最終2.93点、社会性では、初期1.90点、最終2.54点、精神面では、初期2.59点、最終2.91点であった。

    3項目の初期・最終における変化について、標本一対のt-検定を実施した結果、全ての項目において有意差が認められた。

    【考察】

    今回参加者に対し、評価スケールを用いた聞き取り調査において初期と最終を比較した結果、3つ全ての項目で有意な変化を示した。これは「病気に勝動」が機能訓練では得がたい他者との交流を促進するレクリエーションの要素も持つためであると考えた。また、大内2)は「機能訓練のみを漫然と続けるのではなく、人との関わりや活動を用いること」「“活動”“参加”に繋げていくことが重要である」と述べており、「病気に勝動」は多数の参加者が集まるという性質上、他者との交流を促し、地域生活における主体性の発展のために重要であると考えられる。

    【まとめ】

    高齢者に起こる廃用症候群には様々な要因があり、身体の不活動により起こる廃用症候群だけではなく、精神的側面に関連する廃用症候群にも焦点を当て、勝動評価スケールを用いた。その結果、患者自身に起こる精神的変化を捉えることができ、退院後の社会参加を促すことが可能であると感じた。

    今後も、離床時間増加による廃用症候群の予防や退院後の社会参加を促すことを念頭に、ADL能力向上に視点を当てた活動やその評価、より地域での活動に即した取り組みを提供していきたい。

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究の計画立案に際し、事前に当院の倫理審査委員会の承認を得た(承認日:平成27年6月18日)。また、研究の実施に際し、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。

  • *大津留 麻子, *田野瀬 幸香, *中村 裕二, *吉武 寛朗, *井上 大介, *福島 佑, *大城 栄太, *内村 寿夫, *髙尾 尊身
    九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
    2017年 2017 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/01
    会議録・要旨集 フリー
  • *松尾 勇佑, 酒井 宣政, 田上 めぐみ, 田島 巧実, 髙尾 尊身
    九州作業療法学会誌
    2019年 1 巻
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/04
    会議録・要旨集 フリー
  • 早川 亜津子, 山口 純平, 髙尾 尊身
    九州理学療法士学術大会誌
    2024年 2024 巻
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/27
    会議録・要旨集 フリー

    【活動目的】 近年、「仕事は暮らしを支え生きがいや喜びをもたらすと同時に家事・育児等の生活も暮らしには欠かすことはできないものであり、その充実があってこそ人生の生きがい、喜びは倍増する」と厚生労働省の仕事と生活の調和 (ワークライフバランス)の憲章で謳われてきた。理学療法士として患者と接しやりがいを感じ、理学療法士が生きがいとなっている療法士を多く見受ける。しかし、ワークライフバランスの破綻から身体の不調を来す療法士も少なからず存在するのが現状である。 当院回復期リハビリテーション病棟 (以下、回リハ病棟)に従事する療法士には、3つの勤務形態 (早番・遅番・通常勤務)がある。特に早番勤務での療法士には早番勤務実施後のサービス残業や業務終了間際の業務支援、遅番勤務の療法士は休憩時間確保が喫緊の課題であった。そこで、まずは3つの勤務形態を当事者や他スタッフが再認識する必要があると考え、他院看護部が導入していた「勤務形態ごとにカラーマスクでわける」方法を当院回リハ病棟で2か月間試験的に取り入れた。カラーマスクを装着している当事者は心理的にポジティブラベリング効果、その他のスタッフは間接プライミング効果を利用することでどのような効果があり業務改善が行えたのか効果判定を行うことを目的とした。 【活動内容】 当院リハビリテーション室に在籍する全療法士 (41名、そのうち回リハ病棟従事者29名)を対象にカラーマスク試用期間前 (令和5年9月1日~10月31日)とカラーマスク試用期間 (令和5年11月1日~12月31日)での①早番、遅番、通常勤務ごとの平均退社時間、②カラーマスク導入費用、③早番、遅番、通常勤務ごとの平均取得単位数と件数の比較を行った。また、カラーマスクを試用したことによる変化や感じた点について無記名アンケートを実施した。 【活動経過】 結果として①平均退社時間は44~52分早くなり、②導入費用は通常マスクとカラーマスクの金額差 (477円/箱)はなかった。③平均取得単位数/件数は16.4/8.0→15.1/8.1となった。単位数としては1.3単位 (約20分)の減少がみられるものの退社時間は20分以上早くなった。 アンケート結果では、全スタッフの92%がカラーマスク試験導入を把握し、カラーマスクを導入することで73%のスタッフが他スタッフの勤務時間を配慮し、63%のスタッフが定時退社がしやすくなったと回答した。70%のスタッフがカラーマスクを本格導入することにより勤務しやすい職場になると回答した。しかし、遅番勤務の休憩時間の確保については半数以上のスタッフが確保できていないことが解った。 【考察】 今回、カラーマスクを試験導入した結果、カラーマスク装着している当事者は自身へのポジティブラベリング効果により定時退社がしやすくなり、周りのスタッフは一目で勤務形態が解る間接プライミング効果により、勤務時間終了間際の業務依頼をすることが減少する配慮ができた。定時退社がしやすい組織風土はワークライフバランスの構築には欠かせないものである。カラーマスクは導入費用がかからず、管理者にとってはすぐに実践できる「働き方改革のひとつ」である。しかし、本院での課題は遅番勤務での休憩時間の確保である。こちらについては重要課題として、問題点の抽出を行い改善していく。更に本格導入の際には、回リハ病棟全職員ひいては本院全体への周知徹底が必須である。 【倫理的配慮】倫理審査番号:第R5-17.令和6年3月26日

  • *田島 拓実, *早川 亜津子, *花園 幸一
    九州理学療法士学術大会誌
    2019年 2019 巻
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/11
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】

    切除不能と診断され化学療法を施行した患者に対し、がんのリハビリテーション(以下、がんリハ)を導入し、入院化学療法から外来化学療法へ移行ができ、自宅での時間を長く過ごす事ができた症例を経験した為、報告する。

    【症例】

    60歳代、男性。平成29年9月に嚥下困難を自覚し、同月当院受診。諸検査により、頸部、下部食道に病変指摘。翌月、他院にて精査を行った結果、多発リンパ節転移・多発骨転移(胸椎、腰椎、右鎖骨、胸骨、両側大腿骨、腸骨、左恥骨、両側肋骨)を伴う頸部および胸部進行食道癌、StageIVと診断。本人・家族へ告知済み。

    【経過】

    平成29年10月化学療法目的で当院に入院。11月より初回のがんリハを開始。開始時はDiaz分類:維持期、PS:3、FIM:110点、3分間歩行:128.4M・Borg scale:4であった。平成30年1月、自宅へ外泊。2月に本人、家族より胃瘻造設および自宅療養の希望があり、同月胃瘻造設。4月、自宅退院。退院時は、PS:2、FIM:125点、3分間歩行:218.9M・Borg scale:4と身体機能・ADL改善を認めた。訪問看護と訪問リハビリテーションを退院後より開始。5月、化学療法目的で入院。6月CTで病状進行と認めた為、化学療法をWeekly PTXへ変更。同療法の2コース目より外来化学療法へ移行。同時期の評価は、Diaz分類:維持期、PS:2、FIM:125点、3分間歩行:215.0M Borg scale:5と身体機能・ADL維持ができた。10月に倦怠感が増悪し、療養目的で入院。PS等の低下から、Drより予後は1-2ヶ月程度と説明された。11月、自宅へ退院。12月には体調不良で再入院。Diaz分類:緩和期、PS:4、FIM:56点と身体機能・ADLに著明な低下を認めた。入院時CTにて病状進行を認め、化学療法は中止となった。計1年2ヶ月(mDCF:5コース・Weekly PTX:3コース)実施した。同月末、吐血・喀血あり急変し、永眠された。

    【考察】

    本症例は初回入院時からがんリハの介入を行い、化学療法開始前から運動療法を行う事で、有害事象と思われる全身倦怠感の軽減にも繋がり、化学療法の継続、ADLの維持・向上ができた。その結果、在宅医療へ移行する事ができ、住み慣れた場所と環境で、その人らしい生活を送る事が出来たと考える。

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究の計画立案に際し、事前に所属の倫理審査会の承認を得た(承認番号H31-1号)。

  • ~携帯性を活かしたベッドサイドにおける活用~
    中村 裕二, 髙橋 健吾
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 O-233
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • ~家屋訪問前カンファレンスを実施して~
    *上野 瞬, *宮崎 一成, *八嶋 真, *中原 愼次朗, *畠本 裕一, *土田 由香里, *梅田 裕美, *宿利 佳史, *大津留 麻子, *川畑 真由子, *井上 大介, *馬場 優香, *酒井 宣政, *池村 紘一郎, *髙尾 尊身
    九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
    2016年 2016 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/22
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】

    当院は、種子島唯一の回復期リハビリテーション病棟を有している。島民は、農家や漁師を営む方が多く、仕事や気候に合わせた家屋が多い。例えば、農作業後、直接浴室へ出入りできるよう、浴室に出入口がある、高温多湿の為床下が高く上り框が非常に高い等、療法士が島独特の生活様式をイメージし難い現状がある。そこで、転入早期から家屋情報問診票(以下問診票)を用い、家屋の間取り図や寸法を家族に記載して頂いている。また、これらの情報を基に、複数のリハビリテーションスタッフで家屋改修等について話し合う家屋訪問前カンファレンス(以下カンファ)を試験的に実施している。この研究では、療法士へアンケート調査を実施し、これらの取り組みがどのような効果をもたらしたかを検討する。そして、私達が退院支援を行う上で何が重要となるかを導き出す事を目的とした。

    【期間】平成27年7月1日~10月31日(カンファ実施件数:11件)

    【対象・方法】当院回復期リハビリテーション病棟PT7名、OT5名、ST1名、計13名に対しアンケート調査を実施した。質問内容は、問診票とカンファについて、①メリット・デメリットを問う自由回答、②今後の必要性を問う選択式回答とした。さらに、その結果を基に、自由な意見を出し合う検討会を実施した。

    【結果】

    アンケート調査の結果、問診票やカンファの必要性は、「あり」が10人、「どちらでもない」が2人、「なし」が1人との結果となった。その理由として、「視点が増える為、問題点が明確となった」「転入から退院まで治療計画が立てやすい」といったメリットが挙がった。また、「カンファに時間が掛りスケジュール管理が大変」、「カンファを頼り過ぎ問題解決が先延ばしになる」といったデメリットも挙がった。検討会では「どちらでもない」「なし」と答えた人達から「患者さんの状態と家屋の状況をイメージして、情報収集や評価を行っているから、必要ない」との意見が挙がった。この意見を基に討論を行った結果、「身体機能面や日常生活活動の細かな評価、患者のバックグランドやニーズに合わせたアプローチが行えれば、今回の取り組みは必要ないのではないか」という意見も挙がった。

    【考察】

    結果より、担当療法士だけで解決する事が困難だった問題やアプローチについて、他療法士より多くの助言を受ける事ができる為、問題点が整理し易く、アプローチの幅も広がったと考える。また、退院までの治療計画も立て易くなったと考える。その一方で、カンファの時間や活用方法についてデメリットとしても挙げられている為、再検討して行く必要があると考える。

    取り組みの必要性を感じていない療法士は、患者に適した評価やアプローチを考え選択し実施し、一人で抱えず相談するようにしている為、取り組みを必要とせずとも退院支援を行えている事がわかった。

    これらの事より、退院支援を行う上で重要となるのは、療法士は、完全に患者を理解する事は困難であると言う事を前提に、評価していく事が重要となるのではないかと考える。患者への細かな評価やアプローチ、今回の取り組みも一手段であり、それらを自分で考え判断し、行動していくという主体性が必要となるのではないかと考える。

    【倫理的配慮,説明と同意】

    (本研究の計画承認日:平成28年4月9日)

    研究の実施に際し、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。また、事前に当院の倫理審査委員会の承認を得た。

  • 自宅退院に向けた移乗動作の獲得を目指して
    白石 圭太, 山口 純平, 福島 佑, 早川 亜津子, 駒柵 宗一郎, 髙尾 尊身
    理学療法かごしま
    2022年 1 巻 28-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/07/01
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 圓福 陽介, 東 友和, 渡辺 一徹, 野海 渉, 茂利 久嗣, 蓑原 勝哉, 前原 孝政, 砂川 一馬, 満安 隆之, 植村 郁, 竹井 大地, 太田尾 祐史, 深野木 快士, 小牧 亘
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 O-234
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 森山 瑞葵, 西川 拓朗, 中村 達郎, 棈松 貴成, 中川 俊輔, 児玉 祐一, 岡本 康裕, 岩元 二郎, 河野 嘉文
    臨床血液
    2021年 62 巻 4 号 257-261
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/07
    ジャーナル 認証あり

    症例は,乳児期より慢性的に血小板減少を認める13歳男子。慢性血小板減少症の家族歴を有すること,小型血小板,免疫グロブリン治療に不応などより,X連鎖性血小板減少症(X-linked thrombocytopenia, XLT)を疑い,Wiskott-Aldrich syndrome蛋白(WASP)発現解析を行ったところ,発現低下を認めた。WASP遺伝子解析では,WASP-interacting protein領域のエクソン3部位のミスセンス変異[c.296A>G (p.Gln99Arg)]を認め,XLTと診断した。運動制限解除のためeltrombopagの内服を12.5 mg/日で12歳時から開始した。25 mg/日まで増量したところ血小板数は5万/µl前後まで上昇し,運動制限解除後も出血症状は出現しにくくなった。Eltrombopag治療後の透過型電子顕微鏡検査では血小板微細構造,凝集能検査の異常を認めていた。XLT症例に対するeltrombopag治療は,血小板数増加,出血症状の改善を期待できる。

  • Palliative Care Research
    2023年 18 巻 Supplement_Kyushu 号 S1026-S1028
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル フリー
  • 小倉 拓馬, 高橋 建吾, 海江田 光祥, 有島 善也, 東郷 泰久, 小倉 雅, 谷口 昇
    整形外科と災害外科
    2020年 69 巻 4 号 743-745
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/11/12
    ジャーナル フリー

    膝蓋腱断裂は比較的稀な損傷である.今回我々は交通外傷に伴い脛骨近位部開放骨折を合併した外傷性膝蓋腱断裂の1例を経験したので報告する.【症例】24歳男性.軽トラック走行中に対向車と正面衝突し当院救急搬送.搬送時,右膝関節自動伸展不能.膝関節前方部に5 cmの開放創を認め,Gastilo-Anderson分類type 2の開放骨折及び膝蓋腱断裂と診断し,同日洗浄と膝蓋腱の可及的縫合術を行った.受傷後7日で感染がないことを確認後,関節内骨折観血的手術と靭帯修復を行った.術後は3週間Knee brace固定し,歩行は許可,術後4週目より他動可動域訓練,術後6週より自動可動域訓練を行った.【結果】術後14か月で感染や可動域制限は認めていない.【考察】今回は,ブレーキを強く踏もうとした介達外力に加え,ダッシュボート損傷による直達外力によりと受傷した推察された.開放骨折を合併しており早期手術を行うことができず術後後療法は遅れたが,結果は良好であった.

  • 高橋 建吾, 小倉 拓馬, 谷口 昇
    整形外科と災害外科
    2021年 70 巻 2 号 296-300
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    高年者の腰椎X-pにおいて腰椎椎間板内に生じるガス像は比較的よくみられる所見ではあるが,通常は臨床症状と無関係であることが多い.今回我々は右L3の神経根症状を呈し,その責任高位の椎間板および隣接する脊柱管内に巨大なガス像を認める症例を経験した.症例は82歳,女性.特に誘因無く右大腿部の疼痛,しびれを自覚するようになり当科受診.腰椎MRIにてL2/3右側に巨大なヘルニアを疑う所見を認めた.ミエロCTを施行したところヘルニアと評価していた病変は脊柱管内を占拠する巨大なガスであることが判明した.椎弓形成術を施行し同部位の硬膜は一部陥凹しており強い圧迫が存在していたことが示唆された.術後経過良好で下肢痛は消失した.本症例の病態としては椎間板内にvacuum phenomenonが形成され,その気体が後方へ移動した繊維輪とともに後縦靱帯を突き破りガス像として脊柱管を占拠したものと考えられた.

  • 高橋 建吾, 伊集院 俊郎, 小倉 拓馬, 谷口 昇
    整形外科と災害外科
    2021年 70 巻 2 号 287-291
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    種子島は鹿児島県本土の南方に位置する人口およそ3万人の離島である.65歳以上の高齢者の人口はおよそ1万人程度であり転倒による大腿骨頸部骨折,椎体骨折の患者も多く救急搬送される.椎体骨折の治療は一般的にコルセットによる外固定が基本であるが,種子島のような離島においては義肢装具士が週に1回しか来島せず,また台風や天候不良の影響で船や飛行機が欠航となり装具採型が出来ない,また装具が予定通りに届かないといった事例も発生するために離床やリハビリ開始が遅れてしまうことも珍しくはなかった.そこで当院では2018年6月よりカバー付きキャスティングシステム(商品名:フィットキュア・スパイン アルケア株式会社)という外固定装具を採用し院内に常備する体制を整えた.本装具の導入により椎体骨折患者の早期離床,早期退院が可能となった.

  • *内村 寿夫, *中村 裕二, *田島 拓実, *濱添 信人, *當房 紀人, *早川 亜津子, *川平 和美
    九州理学療法士学術大会誌
    2021年 2021 巻
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/03
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    多発性硬化症( 以下 MS ) は多様な神経症状を呈し若年成人に多いが, 在宅でのリハビリテーション治療( 訪問リハ治療) は,現状維持を目的とする治療内容が多く,機能回復と歩行や ADL の向上を目指した積極的な訪問リハ治療は少ない.社会活動が必要な MS 例には脱髄による麻痺や歩行障害, ADL 障害への積極的訪問リハ治療が必要だが, 標準的な治療内容についての報告は見当たらない.選択肢として脳卒中や脊髄損傷の麻痺や歩行, ADL の改善効果が科学的検証で確認されている促通反復療法( 川平ら 2017 ) が挙げられる.今回,脳梗塞合併の MS 例への訪問リハ治療で,持続的電気刺激下の促通反復療法を体幹と下肢に用いて,麻痺と歩行が向上し屋外歩行が自立したので報告する.

    【症例】

    症例は 39 歳, 女性. 2018 年 3 月,右上肢の巧緻性の低下と右下肢の脱力が出現する.他院を受診し MS と診断され, 内科治療と入院リハ治療によって右上下肢の麻痺改善( 足関節底背屈低下は残存) と歩行自立( 短下肢装具装着)して, 4 月に退院した.2020 年 4 月,両下肢の異常感覚が出現して他院を受診して MS 再発との診断で内科治療が始まった. 同年 8 月には右片麻痺と歩行困難が出現して新たな脳梗塞と診断され, 2 カ月のリハ治療を受けて屋内の伝い歩き自立,屋外歩行一部介助で退院した.11 月 ,「 一人で買い物に行きたい」を主訴として , 当院を受診し,訪問リハと外来リハ治療を受けた.

    【評価】

    麻痺(BRS) は 右上肢 VI ,右手指 VI ,右下肢 III ,筋力( MMT )が右股関節屈曲 3 ,伸展 3 ,外転 4 ,内転 4 ,右膝関節屈曲 2 ,伸展 4 ,右足関節背屈1 ,底屈 1 ,両下肢の関節位置覚が足関節・足趾重度鈍麻,TUG が 12.8 秒,神経症状評価尺度 で ある EDSS スコアが 6 ,歩行は短下肢装具での屋外歩行( 最小介助),右下肢の外旋し軽度分回しあり.

    【治療方法】

    体幹・下肢への電気刺激併用の促通反復療法 6 種(30 分),ステップ練習,自主練習指導を行った.頻度は訪問リハ治療(1~3 回/ 週) と外来リハ治療(2 回/ 月) で,期間は令和 2 年 11 月から6 カ月( 計 30 回) である.

    【結果】

    6 カ月間の訪問リハ治療によって, 麻痺が右上肢 VI ,手指 VI ,下肢 IV ,MMT が右股関節屈曲 4 ,伸展 4 ,外転 5 ,右膝関節屈曲 3 ,伸展 5 ,右足関節背屈 2 ,底屈 2 ,TUG が 9.7 秒,EDSS スコアが 5.0 と改善した.歩行は屋外歩行も自立し,「一人で買い物に行くこと」が可能となった.

    【考察】

    脳梗塞合併の MS の一例に訪問リハ治療として麻痺と歩行を改善するため電気刺激下の促通反復療法を行い,右下肢機能と歩行の改善が得られた. 慢性期の MS に対する訪問リハ治療は 2 次的合併症予防に意識が向きがちだが,神経路の再建強化を促進する電気刺激下の促通反復療法は麻痺や歩行, ADL の向上が期待できることが示唆された.また,低頻度の治療でも効果が得られたことから,訪問リハ治療で促通反復療法が選択肢の一つになると考える.

    【倫理的配慮,説明と同意】

    本研究の計画立案に際し,事前に所属施設の倫理審査員会の承認を得た(承認番号 第R3-4 号)。 また研究の実施に際し,対象者に研究について十分な説明を行い,同意を得た。

  • 宇田 英典
    月刊地域医学
    2022年 36 巻 11 号 13-
    発行日: 2022/11/10
    公開日: 2024/02/05
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 宮﨑 宣丞, 田丸 智章, 石野 将太, 谷口 孝平, 吉田 研吾, 富永 千春, 新保 千尋, 山口 純平, 枇杷 高則, 城之下 唯子, 上釜 浩平, 前迫 真吾, 大濵 倫太郎, 海江田 英泰, 谷口 昇
    理学療法かごしま
    2023年 2 巻 14-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     本研究の目的は,リバース型人工肩関節置換術後1年時のADL能力と肩関節可動域の目標値について検討することとした。対象は当院でリバース型人工肩関節置換術を実施し,術前と術後1年時の肩関節機能が計測可能であった15名(77.9 ± 1.1歳)とした。肩関節機能は,屈曲,外転,外旋の自動可動域,内旋(Constantスコアの点数),日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(Japan Orthopaedic Association スコア:以下,JOAスコア)とした。術後1年時JOAスコアにより経過良好群,経過不良群に分類し,肩関節機能を比較した。群間差を認めた術後1年時の項目は,カットオフ値を算出した。経過不良群において,術後1年時の屈曲,外転,内旋の可動域,JOAスコアのADLと機能の項目が低値を示した(p ≤ .0014)。経過良好群を予測するカットオフ値は,JOAスコアのADLが8.5点,屈曲が125°,外転が110°,内旋が4点であった。リバース型人工肩関節置換術後の理学療法では,機能向上と並行してADLでの使用を見据えた動作指導などの実施が重要と考えられた。
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