1,1-ジクロル-1-フルオルエタンの脱塩化水素反応を,銅製反応管内で連続気相接触方式で行ない,この反応に対する活性炭の触媒活性に関し検討し次の結果を得た。
活性炭の触媒活性を高めるいくつかの因子の中で,水蒸気付活温度を高くすることが最も重要で,高温付活活性炭にさらに硝酸処理,塩化バリウム担持などの処理を施すと活性は一層大きくなる。このような触媒を用いると,無触媒,570℃における脱塩化水素反応率十数パーセントは270℃ でも得られ,360℃ で70%,400℃ では85%の反応率を得た(接触時間5sec)。
脱塩化水素反応に対する担持物質の効果の順序はBaC12>SrC12>CaC12>MgC12
であり,一方脱フッ化水素反応については逆に
BaCl2<SrC12<CaCl2<MgC12
となった。
反応はみかけ上一次反応であり,活性化エネルギーは無触媒時57.2kca1/molであったものが,900℃ で水蒸気付活し,さらに硝酸処理し,30wt%の塩化バリウムを担持した時,17.3kcal/molに低下した。
一方,この付活活性炭触媒の機能を検討する目的で,1,1,2-トリクロルエタンの脱塩化水素反応を行ない,その生成体分布を求めたところ,水蒸気付活,硝酸処理,塩化バリウム担持のいずれについてもlog(
trans/cis)=0~0.5,log(1.1/1.2)=0~-0.6となり,ラジカル機構で促進する可能性があり,塩化ストロンチウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム担持になるにしたがって生成体分布は酸性触媒に近づく。
抄録全体を表示