9種類の植物から採取された蜂蜜112種の遊離アミノ酸組成を分析調査し, つぎの結果を得た。
1) 蜂蜜の総アミノ酸含量は, 同蜜源でも試料によるばらつきがやや大きかったが, もっとも高いそばおよびそれにつぐポリフラワーでは, 平均値としてもっとも低いしなの約4.4および2.5倍を示し, 明らかに差がみられた。
2) アミノ酸組成では, いずれもプロリンがもっとも多かった。 しかし各組成%で比較すると, そばのプロリンは約33%と他の1/2以下であり, そばのチロシン, ロイシン, イソロイシンならびにしな, オレンジのフェニルアラニンは約10%以上と他よりも著しく高かった。
3) 組成的にあまり差のみられないクローバーおよびアカシア蜂蜜について, 各試料のプロリン/アスパラギン酸に対する総アミノ酸含量のグラフからこの両者を区別しえた。
4) 各れんげ蜂蜜試料のイソロイシン/ロイシン比に対するプロリン/フェニルアラニン比のグラフから日本および中国産を, また各アカシア蜂蜜試料のイソロイシン/ロイシン比に対するプロリン/フェニルアラニン比のグラフから日本, 中国, ルーマニアおよびハンガリー産を相互に区別しえた。
以上の結果, 蜂蜜の遊離アミノ酸分析および適切なアミノ酸比を選び出すことにより, グラフを用いてその蜜源および産地を判別しうると考えられる。
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