要旨: 発達性読み書き障害は, 読み書きに関して特異的な困難を示す学習障害のひとつであり, 中枢神経系における何らかの機能障害によると考えられている。
症例は7歳の小学1年生男児で, 書字の誤りが多いことから難聴を疑われた。聴力検査では正常であったが, 問診より何らかの発達的な問題が示唆され精査を行った。「小学生の読み書きスクリーニング検査」は本児の読み書きにおける特徴や問題点を明らかにする上で有用で, 書き取りにおいて意味のある単語より1文字が, またひらがなよりカタカナ・漢字が苦手であることが示された。また本児の読み書き障害の原因として, 聴覚的な音韻処理障害とともに視覚情報処理障害が存在すると考えられた。本児に対しては小児神経科で発達性読み書き障害の診断がなされ支援が開始された。
器質的な難聴がなくても読み書きなど特定の分野の障害を持つ小児が存在することに留意して, 専門家と連携することが大切である。
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