症例は56歳男性で,意識消失発作を主訴に五日市記念病院を受診,入院中のモニター心電図にて心室細動発作が捉えられ直流除細動にて救命の後,当科紹介入院となった.父と姉に心疾患による急死の家族歴があったが,安静時心電図では徐脈の傾向はあるものの正常洞調律でありQTの延長はなく,冠動脈造影,心エコーにおいても異常所見はなかった.電気生理学的検査では洞機能は正常であり,房室結節にdual pathwayを認め,右室流出路の刺激にて容易に心室細動が誘発されキシロカイン静注を中断することは危険と考えられた.以上より,特発性心室細動と診断しAICD植え込み術の適応とした.手術は胸骨正中切開とし,パッチ電極2個,センシングリード2本を心表面に縫着固定し,本体は左側腹部腹直筋膜下にポケットを作製し挿入固定した.術後経過は良好で,現在プロカインアミド1,000mg/日,およびメキシレチン300mg/日を投与し経過観察中である.
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