詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "高木安雄"
64件中 1-20の結果を表示しています
  • 小椋 正立, 大石 亜希子
    医療と社会
    1995年 4 巻 2 号 70-108
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    わが国では,介護のための専門的な施設の整備が遅れており,介護サービスのかなりの部分を医療機関が供給してきた。また投薬,注射,検査など出来高払いの対象となる医療の過剩供給も従来から問題にされてきた。しかし,病院が直面する経済的なインセンティブは,ここ数年間の医療保険制度のドラスチックな改革て激変しつつあり,これに病院は急速に対応しつつある。
    まず,1)出来高払いの対象となる病院の収入は,入院期間に応じて急速に逓減するンステムに変えられ,長期入院は減りつつある。さらにわれわれの研究では, 2)1990年の診療報酬改定によって導入された定額払い方式は, 従来の出来高医療の持っていた過剰な供給のバイアスを除去したことを見た。しかし,このことはわが国の長期ケア制度が,新たな三つの問題に直面していることを意味する。第一に,現行の制度では,出来高制と定額制の入院期間に関するインセンティブが整合的でないため,早晩,定額制度施設の不足は必至である。第二に,定額制の施設における医療の質をどうモニターするか確立しなければならない。第三に,ケアの客観的なニーズに応じて,定額制の施設が十分なケアを供給できるようなインセンティブメカニズムを確立することである。
  • 高木 安雄
    医療と社会
    1992年 2 巻 43-62
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
  • 高齢者ケアプラン方式の有用性に関する考察
    五十嵐 智嘉子
    医療と社会
    1995年 4 巻 2 号 54-69
    発行日: 1995/03/10
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    MDS(Minimum Data Set)とRAPs(Resident Assessment Protocols)は米国ナーシングホーム改革のために開発された入所者の包括的アセスメント手法である。これらを日本の実情に合わせた形で修正し,ケアプラン策定のためのガイドラインとして,北海道の15施設,約1,270人を対象に調査を行った。
    その結果,第1に現場における職員の目配りの向上,ケア業務の改善,職員の情報交換と共有化,役割分担の明確化などが図られ,適用得るものと評価された。第2に,これまでの対処療法的プランから原因対応のプランができた,潜在的問題点を把握し予防的なプランができた,等のプランが改善された。第3に,客観性については,調査対象の約1割に対して現場のケア担当者と事務局,看護婦がそれぞれ独自にアセスメントを行い,約7割の項目で一致が8割以上となった。
    以上に加え,職員の教育效果が大きいと評価された。今後の課題としては,客観性の再検討,施設間の共有性の検討があげられる。
  • 野口 一重
    医療と社会
    2002年 12 巻 1 号 71-87
    発行日: 2002/07/31
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    我が国においては現在も包括支払いの試行調査が続行中であるが,そこで使用されている疾病分類は調査分析の基盤として,他の要素と密接な関係にあり,今尚重要な機能を果たしている。疾病分類が十分な機能を果たさなければ,目的に対して十分なシステムを作成・運用することが難しくなることが考えられた。そこで本研究においては試行調査で用いられている疾病分類が使用目的に合致して妥当なものであるか,また,今後改変されるとすれば,いかになされるべきかについて,我が国で過去に行われたDRG関連の調査研究の情報を再分析することにより,検討した。検討は資源消費量ではなく,在院日数とそのばらつきについて主に分析を行なった。その結果,現在の試行調査で用いられてきた183分類は米国のAP-DRGや,他の国産疾病分類などと比較しても,変動係数などは小さい傾向にあり,遜色のあるものではないことが確認された。しかし,疾病分類の作成課程において資源消費量の情報を加味していなかったにもかかわらず,そのような結果になったのは,もともと試行調査に供するにあたって変動係数の小さい分類のみを恣意的に残したため必然であると考えられた。したがって,今後の増補課程の方法によっては現在の分類の良い性質をまったく失ってしまう可能性もあり,疾病分類の使用目的とあわせて慎重な検討を要することが示唆された。
  • ──コーポレート・ガバナンス論の応用──
    *小島 愛
    經營學論集
    2006年 76 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/09/25
    会議録・要旨集 フリー
  • 福田 紀子
    日本看護管理学会誌
    2009年 12 巻 2 号 12-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    看護師が関与した医療事故後の対応において,看護師長は様々な困難に直面することになるが,看護師長の体験に焦点をあてた研究は少ない.本研究は,看護師が関与した医療事故後の対応において,看護師長が体験している困難さを明らかにすることを目的とする.1施設に所属する13名の看護師長が研究参加者となった.3回のフォーカス・グループ・インタビューを実施し,得られたデータは,質的帰納的に分析した.分析の結果,1)錯綜するコミュニケーション,2)医師との協働をめぐるジレンマ,3)傷つき葛藤を抱えたスタッフ支援,4)コントロールを越えた要求に直面,の4つのカテゴリーとそれぞれのサブカテゴリーが抽出された.看護師長が体験している困難さは,事故後対応における組織の課題を反映したものであり,危機管理にむけたコミュニケーションの質を高めること,事故後の患者や家族への倫理的対応,看護師長を側面から支える支援体制づくりの必要性が示唆された.

  • -非営利企業による市場競争と参入規制について-
    中泉 真樹
    医療と社会
    1999年 9 巻 1 号 23-45
    発行日: 1999/05/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,医療サービス市場における参入障壁(結果的に医療機関の数をコントロールすることになる政策)が経済厚生に及ぼす影響を分析することである。1985年に医療法が改正され,医療計画が施行されたが,それによって「医療圏」が設定され,各「医療圏」ごとに「必要病床数」が決められることになった。したがって,この「必要病床数」よりも過剰な病床をかかえる医療圏への病院の新規参入は不可能になる。病床規制は,医療サービス市場に参入障壁を形成するのである。本稿では,こうした参入規制の経済学的な論拠が検討される。
    医療サービス市場の顕著な特徴のひとつは,医療機関が必ずしも利潤を追求するようには行動しないことである。医療機関が患者数と各患者が受け取るサービスの質に依存する目標関数をもっていると仮定しよう。医療機関は,競争的な環境のなかで,採算性制約を満たしながらその目標関数が最大になるように行動すると考えられる。本稿では,そうした非営利企業による競争を厳密にモデル化して分析する。その結果は注目に値しよう。産業組織論でいうところの「過剰参入定理」が成立するのである。結論の含意は,参入規制が経済厚生を高めることができるということである。しかし,日本における現行の医療制度の文脈では注意深い解釈が必要となる。
  • 松田 晋哉, 村松 圭司, 藤本 賢治, 峰 悠子, 高木 邦彰, 得津 慶, 大谷 誠, 藤野 善久
    日本ヘルスサポート学会年報
    2021年 6 巻 15-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】介護保険制度の目的は、高齢者が要介護状態になっても、できうる限り自立した生活を送ることが出来るよう支援することである。この目的には在宅介護の可能性を高めることが当然含まれる。そこで本研究においては、東日本の一自治体における介護保険の認定調査データおよび介護レセプトと医科レセプトとを用いて、在宅の中重度要介護高齢者の特別養護老人ホーム入所に関連する要因を分析し、在宅介護を進めるための条件について検討した。

    【資料及び方法】東日本の一自治体における介護保険の認定調査データと介護レセプト、医科レセプトを個人単位で連結したデータベースを作成した。このデータベースから2014年度の要介護認定で要介護3以上と認定された在宅の対象者6,540人を抽出し、2018年3月まで月単位で追跡し、その後の特養入所の有無を介護レセプトから把握した(特養入所のイベント発生を1)。そして、分析期間中の最初の認定審査時における傷病の状況及び医療・介護サービスの利用状況を医科レセプトと介護レセプトから把握し、特養入所に関連する要因についてCoxの比例ハザードモデルによって検討した。

    【結果】特養入所に関しては女性であること、年齢が高くなること、認知症があること、口腔清潔・洗顔・洗髪で介助が必要なこと、通所介護の利用者であることが有意にハザード比を高めていた。いずれも認知症との関連が深い項目である。他方、寝返りや起き上がり、座位保持、立位、移乗、移動といった筋力に関わる項目で自立度が低いことは特養入所のハザード比を有意に下げる結果となった。また、通所介護の利用を除くと、他の医療介護サービスの利用は、いずれも特養入所のハザード比を有意に下げていた。

    【考察及び結論】本分析の結果、中重度の在宅要介護高齢者が特別養護老人ホームに入所する要因としては高齢、認知症及びそれに関連した生活障害があること、女性が有意のものであることが示唆された。他方で、医療ニーズの高い高齢者は入所リスクが低くなっていた。こうした特性を持つ中重度要介護高齢者は特別養護老人ホームよりは医療系施設に入院している可能性が示唆された。

  • 入院診療と医療費負担
    澤野 孝一朗, 大竹 文雄
    医療と社会
    2003年 12 巻 3 号 117-136
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    この論文の目的は,日本における私的医療保険需要が,どのような要因によって決定されているかを実記的に明らかにすることである。一般に消費者の医療費負損増は,私的医療保険需要を拡張する効果を有しているものと考えられている。本稿では,生命保険文化センターが1988年に実施した『健康と医療に関する調査』のデータを利用して,消費者の医療費負担が私的医療保険需要に与える影響を実証的に明らかにした。本稿の分析から,入院経験や高額自己負担経験は,私的医療保険の購入を促進させる要因となっていることがわかった。したがって私的医療保険は,公的な医療保険制度を代替する側面を持っているものと考えられる。
  • 関口 美穂, 紺野 慎一
    PAIN RESEARCH
    2022年 37 巻 2 号 82-88
    発行日: 2022/07/15
    公開日: 2022/08/07
    ジャーナル フリー

    Previous epidemiological surveys for chronic pain noted that the most prevalent location of the pain is lower back. It is known that in the chronic low back pain patients, the quality of life, especially mental health, is poor. In addition, the group in which a discrepancy arose between disability and severity of low back pain found some associated factors, such as feeling stress, less satisfaction of their job and relationship with coworkers. Social and psychological factors are involved in the pathogenesis of chronic low back pain, therefore, evaluating the condition of chronic low back pain patients should be conducted from various directions and is not a simple task.

    In recent years, analysis of brain activity which is associated with chronicity of pain has been focused on. In addition, brain imaging techniques as a non–invasive tool have developed and play an active role for pain research using functional magnetic resonance imaging (fMRI), MR spectroscopy (MRS), etc. MR spectroscopy (MRS) is used for evaluating metabolites in the chosen brain area. After performing MRI, relative or absolute concentrations of metabolites in the brain are measured. One of the metabolites is N–acetyl aspartate (NAA), which is an amino acid specifically localized in neurons, using as a marker of neuronal function.

    Comparison between chronic low back pain (CLBP) patients and healthy control subjects was performed using MRS. The relationship between patients’ social and psychia­tric background and metabolites in the anterior cingulate cortex (ACC) were evaluated. In the CLBP patients, the NAA level was lower, whereas glutamate + glutamine ⁄ creatine (Glx ⁄ Cr) and Glx ⁄ myoinositol (Ins) ratios were higher in the ACC compared with the control subjects. In addition, the Ins level was found to have a negative correlation with depression and anxiety using the questionnaire of Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS), but no correlation with severity of pain was found. These results suggested that myoinositol, as a marker of glial cells, is found in low level in those with depression and anxiety. In contrast, evaluation of MRS in the chronic pain patients without psycho–social background has been reported. Brain metabolites were compared between the lumbar spinal disease patients with unilateral pain and the healthy control subjects. The NAA ⁄ Cr and NAA ⁄ choline ratios in the thalamus for the lumbar spinal disease patients were significantly lower compared with the control patients, and have a negative correlation with severity of pain. These results suggested that NAA might be useful for evaluation of presence ⁄ degree of pain objectively. Some chronic low back pain patients have brain disorders, and the causal relationship between brain function and chronic pain has not been clarified in cross–sectional studies, therefore this fact should be kept in mind when evaluating brain imaging for interaction between brain function and chronic pain.

  • 福岡県私設病院を対象とした1998年・2012年の繰り返し調査から
    加藤 尚子, 近藤 正英, 大久保 一郎, 長谷川 敏彦
    日本医療マネジメント学会雑誌
    2013年 14 巻 1 号 9-13
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2020/10/13
    ジャーナル フリー

     一連の機能分化施策に対する私的病院の反応を検討するために、機能分化施策が強化された1990年代後半から今日までの私的病院の病院形態の変遷を、特定地域における繰り返し調査を基に分析した。福岡県下の医療法人と個人病院を対象に、1998年と2012年に実施した質問紙調査において、現在と将来の病院形態および機能分化施策についての見解を尋ねた。回答のあった90施設を分析した結果、1998年から2012年までに約4分の1の病院の形態が変化していた。しかし、全体の形態の割合には大きな変化はなく、私的病院が機能分化施策に敏感に反応したとは言い難い結果になった。もっとも、形態が変化した病院の方が機能分化施策を肯定する意見が多く、施策を受け入れる傾向が認められた。機能分化施策に迅速に反応して形態を変化させる病院がある一方で、施策への反応が慎重な現状維持のケアミックス型病院が多数を占める、という二層構造が想定できる。

  • 横山 寿一
    社会政策叢書
    1997年 21 巻 210-213
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル フリー
  • 丹野 清美, 中島 孝
    横幹
    2019年 13 巻 1 号 23-29
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    This study focuses on the evaluation of patient decision making that were rarely done in Japan. At present, advanced technology is being introduced in the medical field of Japan. The HAL medical lower limb type is also one of the advanced technologies. This study is targeted at patients with rare neuromuscular disease using HAL medical lower extremity type. This study purpose is about clarifying their evaluation after they have decided on a walk exercise treatment option. In medical decision making, selection involves risks. Depending on which option you choose, there will be differences in side effects and future quality of life. Nevertheless, research on the assessment of patient decision-making is scarce at home and abroad. The evaluation by this research is considered to be useful for the application of the medical field of science and technology in the future.
  • 針金 健吾, 持田 勇一, 島崎 貴幸, 小林 直実, 稲葉 裕
    臨床リウマチ
    2021年 33 巻 4 号 310-319
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/22
    ジャーナル フリー

    【背景】関節リウマチ(RA)の小関節手術を行った症例で,各種臨床成績や患者報告アウトカム(PRO)での評価が良好でも,術後に不満を訴える例を経験する.Decision Regret Scale(DRS)は治療に対する“後悔”を評価するPROの一つである.今回RA小関節手術後の患者満足度とDRSを調査し,両者の関係性を解析した.

    【方法】2017年以降にRA手または手指関節手術を受け,アンケート調査が実施できた29例32手術を対象とし,DRSおよび患者の満足度を全般,機能,外観の3つの指標でアンケート調査した.

    【結果】DRSは全症例の約6割で良好な結果だったが,3手術において“後悔”とされ,そのうち1例は変形再発,2例は局所の疼痛残存を認めた.全症例の満足度は外観に比べて全般,機能がやや低く,ばらつきも大きかった.MCP人工指関節を行った10手術では全般,機能,外観に対する満足度とDRSの間に負の相関を認めたが,その他の22手術では外観に対する満足度とDRSに相関は認めなかった.

    【結論】DRSと満足度の関係から,MCP人工指関節施行例では機能と外観の両者を重視して手術を受ける例が多く,それ以外の手術では外観よりも機能を重視して手術を受けている可能性が考えられた.また術後の疼痛残存が後悔につながる可能性が考えられた.

  • 馬場園 明, 小河 孝則, 馬場園 常子, 濱田 裕久, 青山 英康
    日本衛生学雑誌
    1991年 46 巻 4 号 890-897
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2009/02/17
    ジャーナル フリー
    The rapid increase of the proportion of older persons in society has made the problem of medical costs more important. Although medical cost-sharing for those aged 70 or more is decided by their medical costs and by the current proportion of such persons in the Society, it is not constant throughout the Society.
    The study evaluated the contribution ratio of medical cost-sharing for those aged 70 or more to the financial balance of the Society. In addition, characteristics of the Society associated with medical cost-sharing for those aged 70 or more were analyzed.
    The results are as follows.
    1) Medical cost-sharing for those aged 70 or more was the greatest factor in the financial balance of the Society with a contribution ratio of as much as 55.2%.
    2) Multiple regression analysis disclosed that dependent ratio, the average monthly salary, the area, the rate of those aged 70 or more and the average age of the Society members are significant in medical cost-sharing for those aged 70 or more.
    3) Dependent ratio and the average monthly salary are the most important characteristics among those associated with medical cost-sharing for those aged 70 or more. A higher dependent ratio and a lower average monthly salary are related to higher cost-sharing. This is also related to geographic factors as cost-sharing in western Japan is higher than in eastern Japan. The lower rate of those aged 70 or more and the higher average age of the Society members are related to the higher cost-sharing.
  • 船山 さおり, 伊藤 加代子, 堀 一浩, 谷口 裕重, 辻村 恭憲, 中村 由紀, 真柄 仁, 渡邊 賢礼, 林 宏和, 辻 光順, 酒井 翔悟, 井上 誠
    日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
    2016年 20 巻 2 号 80-85
    発行日: 2016/08/31
    公開日: 2020/04/22
    ジャーナル フリー

    介護保険施設において,口腔ケアおよび摂食指導を必要としている要介護高齢者は少なくない.今後,研修歯科医が食事の場面に立ち会い,摂食指導をすることが重要であるが,その機会はまだ少ないと考えられる.新潟大学では,特別養護老人ホームを週に1 回訪問し,口腔ケアや摂食指導を行っているが,その際に研修歯科医が2 ~ 3 名ずつ同行して,実際の口腔ケアや摂食指導を研修している.今後,よりよい研修プログラムを提供するため,研修歯科医の介護保険施設における口腔ケアおよび摂食指導の経験の有無や,本プログラムを研修した感想等に関するアンケート調査を実施した.

    対象は,2009~2013 年度に,口腔ケアおよび摂食指導の研修を行った本学研修歯科医144 名とし,口腔ケアおよび摂食指導に対する知識・経験の有無について調査した.

    その結果,80.4% が口腔ケアの知識があると回答していたが,実際に口腔ケアあるいは摂食指導を経験したことがある者は少なかった(口腔ケア56.6%,摂食指導18.2%).また,大半が,口腔ケアおよび摂食指導が勉強になったと回答していた.口腔ケアあるいは摂食指導に対する歯科専門スタッフの介入価値があると思うと回答した者は,口腔ケアでは82.5%,摂食指導では78.3% と高い割合を示した.

    要介護高齢者の数は増加の一途をたどっており,今後,口腔ケアおよび摂食指導において歯科医師が果たす役割は,ますます大きくなっていくと思われる.患者家族やコメディカルに摂食指導をする立場にある歯科医師の臨床研修に,介護保険施設等における口腔ケアおよび摂食指導を導入することは重要であるといえる.

  • 経済学からの評価の試み
    角田 由佳
    医療と社会
    1997年 6 巻 4 号 86-106
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    この研究は,看護婦に関する政策の歴史的展開とその効果にっいて,看護婦の労働市場に視点をおいて評価するものである。
    日本はこれまで,3度の「看護婦不足」問題に直面した。1度目の「不足」は第2次世界大戦終了直後において,医療供給水準の向上を企図した医療施設の整備から,労働需要が急増したことに起因する。2度目の「不足」は,入院患者に対する既存の看護要員数規定に加えて構成割合を規制し,その配置基準にしたがって診療報酬点数上の加算額いわゆる「看護料」を決める「基準看護」が1958年に制定された後に生じている。そして3度目の「不足」発生時では,1985年の医療法改正を機に病院の病床が数多く増設され,労働需要が増大している。このように看護婦の労働需要が増大するにもかかわらず,賃金率の上昇による市場の需給調整に時間がかかる場合には,市場は不均衡の状態となり,「動的不足」が発生する。しかし看護婦の労働市場は都市部をのぞいて,労働需要者が賃金率と雇用量に決定力をもっ需要独占・寡占構造となる特性をもち,労働力不足が常に起こりうる状態にある。
    厚生省は他の省庁とともに,「不足」問題が表面化するたびに看護婦の労働供給を増加させるべく施策をとってきた。ひとっは賃金率の引き上げや労働条件の改善といった労働力のフローを増加させる施策であり,いまひとつは看護婦養成機関の増設や定員数の増加といったストックの増大策である。これらの政策手段は,病院が常にとらえる「不足」や動的不足を削減する効果的な手段であるが,看護婦の労働市場の特性である需要独占・寡占構造にっいて,完全競争状態に向かわしめるべく修正を直接的に加える手段であるとはいいにくい。さらに厚生省は,3度目の「不足」に際しては,労働条件の改善を図って,従来のようなより高度な看護要員配置基準の設定のみならず,「看護料」の引き上げも実施しており,他の生産要素との相対価格低下(看護婦雇用への補助金効果)を通じて,看護婦の労働需要増大を捉進しているものと解釈できる。
  • 三上 裕司
    日本老年医学会雑誌
    2011年 48 巻 3 号 235-238
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/15
    ジャーナル フリー
  • 児玉 由美子, 村田 尚恵, 猪狩 圭介, 木下 美佐子, 田中 由利子, 矢野 いづみ, 松本 洋美
    日本医療マネジメント学会雑誌
    2012年 12 巻 4 号 229-235
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2020/06/26
    ジャーナル フリー

     本研究は事故当事者の主観的体験から、事故後の当事者及び関係者へのサポートのあり方を検討することを目的とする。実際に影響レベル3b以上の事故に関与した当事者を対象に、公的医療機関に研究協力を依頼し、 回答が得られた43施設45名を対象とした。データは、記述式調査用紙で収集し、「事故後の周囲の対応についての当事者の思い」に関する記述内容を質的に分析した。

     分析の結果、事故後の対応についての当事者の思いは、≪その場の業務調整により乗り越えられた安堵≫ ≪気持ちにつきあってもらい楽になる≫ ≪ “あなただけの責任ではない” に救われる≫ ≪他者との省察により前向きになる≫ ≪繰り返される事実確認に対して負担感≫ ≪振り返りの場で沸き起こる後悔≫ ≪対応を一人で背負わされる困惑≫ ≪状況を知らされない不安≫ ≪二次的に波及する当事者間の軋轢への嫌悪≫ の9のカテゴリーが抽出された。これらにより、組織としての事故対応の方向性を明確にし、当事者が起こった事実と向かいあえるようなサポート体制や周囲の関係者も含めた支援の必要性と平素からの職場内コミュニケーションを高め、協力し合える職場風土を作り上げていくことの重要性が示唆された。

  • 白鞘 康嗣, 島田 直樹, 中原 俊隆, 潮見 重毅, 里村 一成, 武村 真治, 近藤 健文
    日本公衆衛生雑誌
    2003年 50 巻 10 号 959-969
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 介護保険制度実施の前年度にあたる平成11年度,介護保険制度実施年度にあたる平成12年度および介護保険制度実施の翌年度にあたる平成13年度における市区町村の保健・福祉サービスの供給体制について質問票による実態調査を行い,市区町村の保健・福祉サービスの時系列的変化について検討を行った。
    方法 全国の全市町村(671市,1991町,567村,計3229市町村)および東京都特別区(23区)に対して,平成13年11月に保健・福祉サービスに関する質問票を送付した。なお調査票には,保健師活動,保健・福祉事業費,介護保険の実施状況など,各市区町村における保健・福祉事業の実態を幅広く把握するための調査項目が含まれており,回答は各市区町村に勤務する保健師の代表もしくはそれに準ずる者に依頼した。
    結果 平成13年12月から平成14年 1 月にかけて441市 (回答率:65.7%),800町(回答率:40.2%),197村(回答率:34.9%)および16区(回答率:69.6%)の計1454市区町村(回答率:44.7%)から質問票の返送があった。介護保険事業の実施にあたって,すべての業務を単独で行っている市区町村は,全体の42.6%であった。老人福祉サービスの変化を予算面から見るために,平成12年度および平成13年度の介護保険給付以外の老人福祉事業費と,平成11年度老人福祉事業費との比をそれぞれ算出してみると約40%であった。各市町村に雇用される平均常勤保健師数および保健師全体の活動時間の配分割合に関しては,介護保険導入による変化は見られなかった。また,44%の市区町村が,介護保険専従保健師を雇用していた。高齢者 1 人当りの介護量の変化としては,増加したと回答した市区町村が全体の80%以上を占めている。介護の質の変化としては,向上したと回答した市区町村が全体の72%を占めている。介護を受ける高齢者数の変化としては,増加したと回答した市区町村が全体の81%を占めている。
    考察 介護保険制度の導入が,地域保健サービスあるいは地域福祉サービスに対して悪影響を与えたと考えている市区町村は少なく,むしろ市区町村の保健・福祉サービスに対しては良い影響を与えていることが示唆された。また,介護保険制度は介護そのものに対しても良い影響を与えていることが示唆された。
feedback
Top