クロルテトラサイクリン (CTC) 8,000ppmを含む飼料を, 肉用種雄ヒナに4週間与え, その後無添加飼料を与えて, 0, 0.125, 0.375, 1, 2, 3, 4, 6および8日目に, 5羽ずつを殺して, 肝臓, 胆汁, 脛骨のサンプルを採取した。肝臓と胆汁のCTC含量は,
Bacillus cereus var. mycoides ATCC 11778を用いる微生物定量法により, また, 脛骨中のCTC含量は, BUYSKE, D. A. らの記述する分光螢光分析法により測定した。
肝臓と胆汁中のCTCの消失経過は, 4式で示される。ただし,
yはCTC含量 (ppm当量),
Tは給与中止
y=A
1e
-3.942T+A
2e
-0.3531T……(4)
後の日数,
A1と
A2は定数で, 肝臓の場合, それぞれ0.626と0.150, 胆汁の場合, それぞれ7.67と2.33である。4式で示される消失パターンは, 図1に示すような2区画モデルで説明される。
脛骨からのCTCの消失パターンは5式で示される単純な指数曲線として示される。ただし,
yと
Tは4式
y=43.82e
-0.1281T……(5)
に同じである。
CTCとOTCとの間, あるいは, 成長中のヒナと産卵中の鶏との間における, 肝臓, 胆汁, 卵白などからの消失パターンについて検討された。成長中のヒナの2区画モデルにおける貯蔵部位として, 骨が考えられ, また, 本実験でえられたデータは, 骨から放出されたCTCの一部が再び骨に蓄積され, 再循還側路を形成すと考えることによりうまく説明された。CTCやOTC含量の個体差は, データを対数変換することにより, 0.1~0.2程度のほぼ一定のものとなることが示された。
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