【背景】当院では特定臨床研究の適正実施の管理・監督を行うため、院内監査として「東北大学病院 臨床試験品質保証室監査」(以下、品質監査)の体制を構築し、年4~6研究を抽出して品質監査を実施している。品質監査は、監査従事者3名程度と研究者が同じ会議室で対面形式にて実施してきたが、COVID-19の感染拡大防止のため、
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で実施する事が望ましい。
【目的】
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システム等を用いる事で、品質監査を対面せず、かつ監査の質を落とさずに実施する事ができるか検討した。
【方法】
1.
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化にあたり、監査の質を下げることがないよう、従来からの監査スケジュールは変更しないことにした。
2.全員の居室を分け、3名の監査従事者の各居室に「
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用のパソコン、スピーカー、電子カルテ、電子カルテ、担当症例の同意書、担当症例のCRF」を設置した。
3.対面形式の場合は「同意書」や「CRF」等の資料について疑義事項があった場合に、研究者に現物を提示して示すことができるが、
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体制の場合には、現物を提示することができず、研究者が疑義事項の内容を把握できない。そこで、個人情報を付箋でマスキングした上で、資料をパソコンのカメラに映して研究者に疑義事項の説明をすることにした。
【結果・考察】
・2021年5月25日に
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形式で麻酔科研究の品質監査を実施した。
・
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形式でも対面形式と同じスケジュールで実施する事ができ、監査の質を落とすことなく品質監査を実施する事ができた。
・疑義事項を研究者に正しく伝えることができ問題なくヒアリングを実施できた。
・品質監査後に監査従事者と研究者から意見と課題を収集した。
<意見>
・感染対策の有無に関わらず、会議はwebで良いと思っているのでスムーズに参加することができ、やりにくさは感じなかった(研究者)
・感染対策としては十分だと思った(監査従事者)
<課題>
・監査従事者と研究者が電子カルテを同じ画面で見れなかったのは、やや不便を感じた(監査従事者)
・複雑なプロトコルの場合に質問事項が十分に研究者に伝わるかどうか疑問が残る(監査従事者)
【考察】今後実施する品質監査についても今回構築した体制で実施する。また、今後はより確実に質問内容を研究者に伝えられるよう、電子カルテの同じ画面を遠隔で共有できる体制の構築を検討する。
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