日本食品科学工学会誌
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解説
食品分野における粉体技術-大豆の処理を中心として-
井上 義之
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2011 年 58 巻 11 号 p. 552-558

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抄録

食品分野において粉体技術は様々な場面で用いられている.中でも微粉砕は近年特に重要な単位操作になっている.そこで本文では分級機内蔵衝撃式粉砕機,ピンミル,ジェットミルの三種類の粉砕機を用いて大豆の微粉砕のテストを行った結果を示した.分級機内蔵衝撃式粉砕機では,固着とそれに伴うオーバーロードが生じたため連続運転が出来なかった.これは油分によるものと考えたが,それを抑制することは熱分析の結果から非常に困難であると考えていることを示した.一方,ピンミルでは平均粒子径として10∼30 μmの製品を時間当たり数十kg以上の能力で得られることを示した.特に10 μmの粒子は,一度ピンミルで粉砕した粒子をもう一度,同じ粉砕機で処理することによって得る事ができる.さらにカウンタージェットミルを用いることにより20 kg/hという比較的低能力ながら,平均粒子径として5 μmの粒子が得られることを示した.
また粉砕分級システムを利用することによって,豆類の成分濃縮を乾式で行いうることを示した.このシステムにおいて,粉砕機は単に微粉化するだけではなく,タンパクとデンプン粒を分離する役割を果たしている.また分級機は分離したタンパクとデンプン粒をそのサイズによって分離している.

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© 2011 日本食品科学工学会
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