再構成血清トリアシルグリセリン (TG) 濃度の変動率や種々の脂質代謝物に関する生化学的指標に対する食事性ジアシルグリセリン (DG) の影響について研究を行った。11h絶食した17人の健常人に, DGまたはTGエマルションを, 体重60kg当たり44gの脂質量となるように, 各々単回摂取させた。試験は, クロスオーバー法によって行った。血清TG値は, エマルション摂取後4hまで上昇するが, その後下降し, 摂取後8hでは初期値に達した。DG摂取後6及び8h後の血清TGの変動率は, TG摂取後と比較して, 有意に低下していた。再構成TGの血清滞留量に対するDGの抑制効果は, 初期TG値が高い被験者ほど明白であった。この抑制効果が認められた被験者において, キロミクロンやVLDLに含有され, 末しょう (梢) 組織のリポプロテインリパーゼを活性化する血清アポタンパクCII濃度は, DG摂取後で, 有意に低下していた。DGの代謝物に関しては, 脂肪酸のβ酸化産物である3-ヒドロキシ酪酸の変動率は, DG摂取後の血清中に上昇する傾向にあった。これらの結果から, DGは, エネルギーとして利用されやすく, そのため, ヒトにおいて, TGと比較して体脂肪として蓄積しにくいものと考えられた。