抄録
【要旨】
ネパールでは、特に農村地域において森林は生活燃料の原料である。森林資源への依存、持続不可能な使用、違法的な薪の採取、政策的な問題などが最も深刻な環境問題の一つである。これらの問題の解決のために、身の回りの環境に対する地域住民の知識向上、行動の変化、状況の改善、価値観の変容をねらう環境教育の重要性が増している。
現在、ネパールの中でも特に政府、NGO・NPOなどのステークホルダーが積極的に地域の環境問題やジェンダー問題の解決のために様々な啓発活動を実施し続けてきている。その一つとしてバイオガスの導入活動がある。しかし、男女差別によるジェンダー問題が根強く残っており、女性の知識向上には力がそれほど注がれていない。また、環境問題を取り上げる際に女性たちの問題に配慮していないことが多い。このような状況のもと、ネパールの環境問題を解決し、地域の内発的発展のためには、日常生活を中心に女性たちの生活改善、女性の地位向上などのジェンダー視点を含めた環境教育、すなわち「生活に根ざした」環境教育を行う必要がある。
本研究では、ネパールの森林保全や薪を利用する女性たちの生活改善のためにバイオガスを導入している地域の典型的事例としてチトワン地域を取り上げ、「生活に根ざした」環境教育のあり方について論じる。