日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
会議情報

1980年から2000年の二次医療圏別平均寿命による長野県の地域区分
*北島 晴美太田 節子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 90

詳細
抄録
1.はじめに
 長野県の平均寿命は,全国的に見て上位にあり,全都道府県中の順位も1965年以降上昇傾向である。また,長野県は医療機関が少なく,1人当たり老人医療費が47都道府県中の最低レベルであるが,平均寿命が高いことで注目されている。
 長野県の平均寿命が高い理由としては,様々な議論がなされてきたが,保健・医療・福祉行政に,長野県の事例を活用するためには,データによる実証が必要である
。 本研究の目的は,長野県内における平均寿命の地域差を明らかにし,地域差をもたらす要因を分析することである。今回は,二次医療圏別平均寿命から二次医療圏の地域区分を試みた。

2.研究方法
 1985,1990,1995,2000年の二次医療圏別平均寿命は,『市区町村別平均寿命』(厚生統計協会,厚生労働省)を市町村人口で按分して算出した。1980年については,Chiang(1984)の簡易生命表作成方法に準拠して算出した。1980年平均寿命算出には,1980年国勢調査の市町村・性・年齢階級別人口と,『長野県衛生年報』による1979_から_1981年の市町村・性・年齢階級別死亡数を使用した。
 10二次医療圏の,1980_から_2000年5時点における平均寿命から,クラスター分析により地域区分を行なった。
 さらに,自然環境のうち気候条件と平均寿命との関係を,都道府県別平均寿命,長野県17市の平均寿命と,『メッシュ気候値2000』の気候値との相関係数を算出して検討した。
3.結果
 二次医療圏別の,1980_から_2000年5時点の平均寿命データのクラスター分析による地域区分は,1985_から_1995年3時点のデータによる分析(北島,太田,2002)と整合的であり,男性,女性とも3グループに分類された。
 1.諏訪,飯伊(平均寿命が高い),2.佐久,松本,長野(中間),3.木曽,大北,北信(平均寿命が低い)
 上伊那,上小は,性により属するグループが異なる。上伊那男性は1,上伊那女性は2,上小男性は2,上小女性は3にそれぞれ属する。

4.今後の課題
 長野県には二次医療圏人口が5万人程度の地域があり,性・年齢階級別死亡数が非常に少ないため,算出される死亡率の値が不安定になり,平均寿命の標準誤差も大きくなる。ベイズ統計学の事前分布を用いた平均寿命の算出も検討したいと考えている。
  Fullsize Image
著者関連情報
© 2003 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top