抄録
本報告では、吉井川下流に位置する岡山県邑久町に広がる千町平野をフィールドに過去の顕著な洪水事例を取り上げ、変化する浸水域の特徴を明らかにする。千町平野に被害をもたらした洪水のうち、被害の大きかった1945年、1976年及び最近の事例として1990年の3例を取り上げ、浸水域の画定と洪水流の動きについて作図を行った。その結果、1945年の洪水では吉井川本川が決壊したため、洪水流は町を北から南に流れ、湛水深も3mと深かった。それに対して、1976年の洪水では、吉井川から支流に洪水流が逆流し、それが支流の随所で溢流して浸水するようになった。このため、1945年と比較して湛水深は0.6mと改善したものの、浸水域は狭まらず、洪水流の流れも複雑になった。これは、千町平野全体としての洪水流の動きが捉えにくくなったことを意味しており、町として新たな水害対策の構築が求められていると言えよう。