2019 年 11 巻 4 号 p. 419-422
症例の概要:患者は82歳の女性,義歯不適合および咀嚼困難を主訴に来院した.
旧義歯は形態不良で維持力に乏しかった.下顎左右顎堤の高さおよび粘膜の被圧変位量の差が大きかった.咬合重心に配慮した上下顎全部床義歯による治療を行った.
考察:日本補綴歯科学会が推奨している症型分類や研究用模型での診査を十分に行い症例の難易度を的確に把握したこと,適切な治療方針を構築したことが良好な結果につながったと考えられる.
結論:義歯の外形,咬合重心に配慮した人工歯排列および咬合調整により咬合力の負担を均等にしたことで,良好な結果を得ることができた.