2020 年 12 巻 1 号 p. 75-78
症例の概要:患者は68歳男性.上下顎部分床義歯不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.両側犬歯以外の咬合支持は喪失し,咬合平面は大きく乱れていた.既存の咬合高径にて咬合平面と犬歯ガイドの是正を行った後に,上下顎に部分床義歯を装着した.
考察:両側犬歯を顎位の指標とし,アンテリアガイダンスと咬合平面を修正したことが咬頭嵌合位の安定と咀嚼機能の回復に貢献した.
結論:条件が良好な四犬歯が残存していた咬合崩壊症例に対し,適切な犬歯ガイドを設定し,部分床義歯による咬合再建を行うことは有効であった.