抄録
【目的】
団子は米粉に水または湯を加えて捏ね,蒸煮または茹でてその餅を小さくまるめた菓子である。米粉は米を非加熱もしくは加熱糊化後,乾燥して製粉したもので,米粉原料のウルチ米およびモチ米の差やβ-デンプンおよびα-デンプンの差によって性質が異なる。本研究では,この米粉のウルチ米およびモチ米の違いに着目し,ウルチ米とモチ米の混合比の違いによる団子を作製し,その物性の変化を調べるとともに女子学生の団子の嗜好調査を行い,団子の官能評価を報告する。
【方法】
団子は米粉50gと熱湯40gを混ぜ合わせ,まとまるまで手で捏ね,10等分に丸めた後,沸騰水中にて表面に浮き上がる4分まで茹でたものを試料とした。なお,米粉はウルチ米のみ,モチ米のみ,ウルチ米およびモチ米の混合比を3:1,1:1,1:3の5段階で製造した。団子の物性測定は試料直径1cm,厚さ1cmを用い,英弘精機(株) Texture Analyser TA-XT2i,8mmプランジャーによって破断測定を行った。官能評価は5点法にて行い,調査対象者は,19~21歳の女子大生115名を対象にアンケート調査を実施した。
【結果】
米粉の異なる団子を製造し官能評価試験を行った結果,ウルチ米およびモチ米1:3の団子の評価が高く,全体の63 %を占めた。次にモチ米のみが27 %,ウルチ米およびモチ米1:1が9 %,3:1が1 %,ウルチ米のみは0 %であった。物性測定を行った結果,ウルチ米およびモチ米団子の物性に差異がみられ,ウルチ米およびモチ米の物性特性が官能評価に大きく影響を及ぼすことが推察された。