日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p6
会議情報

口頭発表
食生活からみた経営者の健康増進のための食卓メニューづくり
*比江森 美樹川上  貴代
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録


【目的】 中高年層を中心とする経営者は、地域の経済・産業の活性化に重要な役割を果たしている。一方で、この年代は精神的負担、運動不足、偏った食生活による健康問題などが指摘されている。特に、食生活面では、栄養バランスの問題、食事時間の不規則や欠食、アルコールの摂取過剰など、中小企業または小規模商店の経営者・管理者が抱える多くの課題が予想される。そこで、経営者が所属するS市の商工会議所を発信源として、経営者本人あるいは経営者の健康を支える立場である家族ら自身が主体となり、健康増進のための食卓メニュー作りを通してその波及効果を目指した取り組みを行った。
【方法】 S商工会議所レディースの会が中心に、簡単でしかも日常の食事に取り入れやすい食卓メニューを提案し、管理栄養士からの助言を加えてメニューを完成させた。一方、経営者ならびに経営者の食を支える調理担当者26名を対象に、食事頻度調査及び健康的な食生活の自己管理に対する自己効力感についてのアンケート調査を行った。
【結果】 鶏肉、キャベツ、もやしの3つの食品を主体として作成したメニューより、アイデア性、アレンジが可能で継続性が高いなどの観点からメニューを選択し、エネルギー、脂質、塩分等を中心に食材や調理方法に改善を加えて7種類を完成した。これらメニューはS商工会議所主催の試食会において、一部のメニューを組み込んだ1日のバランスの良い食事例とともに提供され、さらに、市広報での紹介や大学食堂で実施されるなど、本取り組みの波及効果は広いものと考えられた。アンケート調査結果では、エネルギーの過剰摂取、アルコールの過飲など個別性の高い問題が見受けられた。しかし、今回の地域に向けた発信活動は、経営者の食事バランスを中心とした食や健康に対して意識を高める効果が期待された。

著者関連情報
© 2009日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top