抄録
【目的】澱粉の老化は澱粉製品の品質低下につながることより,一般には好まれない現象である。そのため,澱粉の老化に対する多くの研究が存在する。しかし,澱粉の老化について澱粉の保存期間を大きく変化させて検討されているものは少ない。そこで本研究では,澱粉の老化過程および老化の進行速度を調べるために澱粉試料の保存期間に着目して検討した。
【方法】澱粉にはコーンスターチ,ジャガイモ澱粉(三和澱粉工業)およびタピオカ澱粉(松谷化学工業)を使用した。澱粉濃度は0.5-32wt%とし,澱粉糊液および澱粉ゲルを調製した。調製した澱粉試料が蒸発しないように5ºCで1–90日間保存し,老化過程について検討した。老化の測定は離水測定,破断測定およびDSC測定により行った。
【結果】コーンスターチは4.0wt%未満の濃度で糊液であったが,4.0wt%以上の濃度でゲル化することがわかった。この結果より,澱粉糊液はたれ・ソール類に使用される粘性と同程度の3.0wt%で,また,澱粉ゲルは外郎などのかたさと同程度の15および20wt%で調製して実験に用いた。3.0wt%のコーンスターチ糊液とジャガイモ澱粉糊液の離水率は30日以上の保存でほぼ一定となった。一方,タピオカ澱粉糊液は90日間保存しても離水が起こらなかった。したがって,3.0wt%の低濃度の澱粉では,30日の保存期間により老化過程を検討することが重要であるとわかった。15および20wt%の澱粉ゲルのゲル強度は45日間の保存で最高となったのち,保存期間が60日を超えると弱くなった。しかし,DSC測定の結果では45日間以上の保存により,老化率はほぼ一定となった。以上の結果より,長期保存によるゲル強度の低下は老化以外の原因が関係するとも考えられるため,高濃度の澱粉では45日間の保存により,老化過程を検討するとよいと考えられた。