抄録
【目的】昨今の塩ブームにより日本各地だけではなく世界中の精塩法の異なる塩が多数出回り手軽に購入できるようになった。これらの塩は、産地や、製法によって微量成分に差があり、これらの塩を漬物に使用した場合、微量成分の含有量の違いが調味や微生物の発育に影響を与えると考えられる。ここでは、漬物などの発酵食品から分離した細菌を用い、塩に含まれる微量成分が微生物の発育に及ぼす影響を検討したので報告する。
【方法】実験には市販されていて製法の異なる8種類の塩を用いた。製法の種類としては、A:溶解・立釜法、B:採掘法(岩塩)、C:瞬間結晶法、D:低温自然結晶法、E:低温蒸発自然結晶法、F:天日乾燥法、G:再生自然塩、H:イオン交換膜法である。漬物由来の微生物には、キムチ、イズシ等から分離した大腸菌などの腸内細菌科の細菌およびLactobacillus buchneri、L. plantarum等の乳酸菌を使用した。発育に及ぼす影響は温度勾配培養装置を用いてその吸光度(660 nm)を2分毎に測定し、発育曲線の誘導期、対数期の長さ及び発育菌量の測定などから判断した。なお、使用培地は腸内細菌科の細菌の培養に対しては普通ブイヨン、乳酸菌に対してはMRSブイヨンなどを用いた。
【結果】塩の種類によって供試細菌の発育曲線の誘導期の長さ、発育菌量に影響が認められた。最も良好な発育が見られたものはBの塩を添加したものであった。一方、発育が悪かったのはCの塩を添加したものであった。この影響の要因としてはマグネシウム含量の多寡が考えられた。また、8種類の塩について耐塩菌の分離を行ったところ、Fの塩から強い耐塩性の細菌を分離した。本菌の性質についても発表する。