抄録
【目的】パラチノース®は長期摂取時に内臓脂肪を低減させるほか、同時に摂取した糖質の血糖上昇を和らげるなどの生理効果があるとされ、糖質含量が高いベーカリー製品への利用によりGI値の低減化が図れる甘味料といえる。本報告ではビスケットの物性形成におけるパラチノ-ス®の機能を砂糖との比較において検討することを目的とした。
【方法】ビスケットは小麦粉100g、B.P.2g、バター45g、卵15g、糖45gの配合とし、糖はパラチノース®:砂糖の配合比を4:0、3:1、2:2、1:3、0:4の5水準とした。生地については定速圧縮試験、焼成品についてはスプレッドと膨化率、定速圧縮破断試験、保存時の吸湿性と水分活性測定、官能評価を行った。なお、破断試験・官能評価分析には、生地の厚さを変えることで5水準の試料の形状を近似させた。
【結果】生地はパラチノース®が多いほど硬くて伸び広がりにくく、生地調製時の低い溶解度がその一因と推察する。焼成時には砂糖とは異なり横広がりを生じさせず、垂直方向へ大きく膨張した。焼成品の破断試験では、パラチノース®のみは破断応力値・破断エネルギー値とも大としたが、砂糖を併用すると砂糖のみとほぼ同程度の破断特性値を示し、その食感は近似する可能性が示唆された。保存時の湿度が同一の場合、パラチノース®は砂糖よりも吸着水分量が高いが、水分量が同値の場合は砂糖に比べて水分活性は低く、保存性や物性変化の面で利用効果が期待できた。官能評価ではパラチノース®のみは外観・硬さ・甘味・風味など総合的に評価が低かったが、砂糖の併用により砂糖のみと近似する評価を得る可能性が示唆されたので、今後は配合量の上限値を検出することが検討課題である。