抄録
【目的】三重県度会町には清流が多く、多くのあまごが養殖されている。そのあまごの利用拡大を目的とし、新規加工方法として麹漬けの開発を試みた。また、同地域で栽培されている「わたらい茶」を本加工食品に取り入れることについても合わせて検討した。
【方法】麹漬けは、はたはたずしの製法を参考にして製造した。原料を1週間塩漬けし、一晩酢に浸した後、麹や飯、調味料を混ぜて調製した麹床に2~4週間本漬けした。漬け込み期間、茶添加の条件を変えて、生菌数、pH、塩分、遊離アミノ酸および有機酸について分析を行った。また、本漬け期間および茶添加の影響の比較については2点識別法および2点嗜好法を用い、絶対評価については5段階評価を用い官能検査を実施した。
【結果】あまご麹漬けの本漬け期間が長くなると生菌数は増加し、アミノ酸とコハク酸が増加した。官能検査では「香り」は多少抑えられ、「食感」は柔らかく、「甘味」は強く感じられるという結果であった。また、茶を添加することで生菌数は減少し、アミノ酸、酢酸とコハク酸も減少したが、pHについては変化がみられなかった。官能検査では「香り」と「生臭み」は有意に弱いと評価された。また、「酸味」は弱く感じられた。茶添加、4週間発酵の麹漬けの絶対評価では、「香り」「食感」「うま味」の項目で高い評価を得た。また、「酸味」「甘味」「うま味」が強く、「生臭み」と「塩味」の弱いものが好まれると分かった。発酵食品の食歴がある人、または年代が高くなるにつれて本麹漬けを好む傾向にあった。新たな発酵食品としてのあまご麹漬けを「非常によい」または「良い」と評価した人は全体の78%を占め、かなり高い評価を得ることができた。