抄録
【目的】これまで我々は、鰹だしの抗酸化力、その作用物質の研究を進めるとともに、魚肉及び畜肉類の調理における鰹だしの抗酸化効果を検証し、調理品の脂質酸化抑制効果を確認してきた1)2)。本研究では、鰹だしが直接脂質に与える影響について、代表的な不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPA)と魚油を用い、過酸化脂質及び酸化二次生成物として発生する揮発性物質を測定することで鰹だしの脂質酸化抑制効果を検証した。
【方法】鰹だしは市販の厚削りを原料とし、前報に引き続き5%及び10%濃度で熱水抽出して調製した。試験試料は、キサンタンガム1%を含む、水、5%鰹だし、10%鰹だしに前述した各脂質を懸濁混合させ、40℃恒温下におき、経時的にPOVを測定した。また、魚油を懸濁した試料においてはGC‐MSを用いてTwisterに吸着させた香気成分を測定し、二次酸化反応で生成される揮発性物質量を比較した。
【結果】試験区のPOVは、水添加区に比べ鰹だし添加区で、また5%鰹だし添加区に比べ10%だし添加区で上昇が抑制されていた。この現象は、検証した各々の脂質について認められ、鰹だし添加による過酸化物の酸化抑制効果が示された。さらに、GC‐MSで魚油の酸化による揮発性物質量を調べた結果、鰹だし添加区ではアルデヒド類、ケトン類等の酸化生成物の発生が抑えられていた。
1)日本調理科学会誌, 41, 184-188 (2008)
2)平成19年度日本調理科学会要旨集