抄録
【目的】前報で、鰹だし添加よる酸味・酸臭抑制効果を確認し、それは緩衝作用の影響があることを報告した1)。本研究では、鰹だしを分子量別に分画し、どの部分が酸味・酸臭抑制に影響しているのか、さらにその中に含まれる成分の添加による酸味・酸臭抑制効果ならびに緩衝作用の影響について検討した。
【方法】鰹だしを分子量500以下、500~1000、1000以上で分画した。サンプルは乳酸、酢酸それぞれに各画分を添加し調製した。官能評価は順位法を用いて行ない、酸味は味覚センサー、酸臭はGC-MSを用いて評価を行なった。また、酸解離定数pKaは自動滴定装置を用いて測定し、算出した。次に、鰹だし中に含まれる数種類アミノ酸等に着目し、それらを各酸に添加したサンプルについて酸味・酸臭の検証を行ない、pKa値を測定した。
【結果】官能評価の結果から、分子量500以下の成分が最も酸味・酸臭を抑制することが確認され、味覚センサー、GC-MSの結果もこれを支持した。また、pKa値と酸味抑制の評価結果の間には相関性があることが確認され、鰹だしでは分子量500以下の成分が主に酸味・酸臭抑制に影響していることが推測された。さらに鰹だし中に含まれる数種類のアミノ酸等を乳酸、酢酸に添加した時の酸味・酸臭抑制効果は、官能評価や味覚センサー、GC-MS結果により確認でき、pKa値との間にも相関が見られた。それは各成分自体がもつ緩衝能の強さとも相関が見られた。以上のことから、鰹だし添加による酸味・酸臭抑制効果は、鰹だし中に含まれるアミノ酸等のもつ緩衝作用が影響していることが推測された。
1)平成20年度日本調理科学会要旨集