抄録
【目的】 カツオ、マグロなど赤身魚の血合肉は特異な臭気や味をもっているため一般に好まれていない。そのため、かつお節では血合肉の部分を削りとってから「だし」をとることもあり、このようにして作った「だし」は上品な風味を与えるとされている。一方、血合肉を含むかつお節から作った「だし」の方が「こく」があり風味がよいともいわれている。そこで、本研究では風味形成の上で血合肉がはたす役割を明らかにすることを目的とした。
【方法】 かつお節(本枯れ節の雄節)から血合肉および普通肉を削りとったのち、それらを一定の比率で混合して、常法により「だし」を調製し、対照品(もとの製品)のそれとの間で「あっさりしたうま味」、深味や「こく」、異味や「くせのある味」などの強さを順位法によって比較した。
【結果】 普通肉(100%)からとった「だし」は対照品のそれに比べて、「あっさりしたうま味」をもつが、深味や「こく」に欠けること、血合肉(100%)から調製したそれは、うま味が弱く異味や「くせのある味」をもつこと、普通肉(50%)、血合肉(50%)を混合したそれは「あっさりしたうま味」のほかに、いくぶん深味や「こく」が強まるが、もっとも調和があり好ましいと判断されたのは、普通肉(80%)、血合肉(20%)の比率で混合したものであることなどが明らかとなった。市販のかつお節はもともと一定量(15~25%)の血合肉を含むが、ここで得られた事実は、血合肉の混在によってはじめて本来の風味が発揮されるようになることを強く示唆している。