日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a5
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口頭発表
加熱後の温度履歴が煮物野菜における調味料の拡散に及ぼす影響(第2報)
*奥本 牧子畑江 敬子
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抄録


【目的】 煮物の味は冷めるときに染み込む、と一般にいわれているが、それを確かめるために実験を行なった。前報では、3種の食品を1% NaCl溶液中で加熱し、温度降下速度をかえて、一定温度で保温し、食品中の食塩の濃度を測定した。その結果、温度が高いほど食品中のNaCl濃度は高く、冷めるときに味が染み込むということは確認出来なかった。そこで、さらに温度降下条件を急速にし、煮汁の温度が冷めるときに味が染み込むかどうか確かめることを目的とした。さらにソレー効果との関係を考察した。 
【方法】 試料として前報同様ジャガイモ、ダイコン、コンニャクを用い、一辺2cmの立方体に成型し1% NaCl溶液中で一定条件で加熱した後、とりだして、予め、0,30,50,80,95℃に設定した1% NaCl溶液に移し、5,10,30分後に取り出し、前報同様に内層(表面より3mm内側)と外層(表面より3mmまで)に分けて、イオンメーターでClイオンを測定し、NaCl濃度を算出した。
【結果】 いずれの場合においても高温に保った方がNaCl濃度は高い傾向にあった。今回の実験でも冷めるときに味が染み込むことは確認出来なかった。ソレー効果は温度が定常状態の場合に液体中のNaCl濃度が移動するという現象で、濃度によって温度は異なるが、ある特定の温度(海水程度では12℃)を境にしてNaClは高温側から低温側、あるいは低温側から高温側に移動するという現象で、煮物の味の染み込みを説明するには無理があるのではないかと考えられる。

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© 2009日本調理科学会
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