抄録
【目的】野菜はそれ自体が抗酸化能を持つ場合が多いが、長期間の発酵や調理工程を経ることでその機能性は変化する。そこで野菜漬物を発酵した場合や塩漬け、醤油漬け、味噌漬けによる変化を、機能性の一つである抗酸化性の測定により検討した。
【方法】試料野菜はキュウリ・ナス・ニンジンとし塩漬けをもとにして調製した。塩漬けは、試料野菜重量の6%塩を添加し漬けたものを塩漬け試料とした。また、乳酸発酵を利用する無塩発酵漬物のすんき漬け、市販のキュウリ古漬け、醤油漬けおよび味噌漬けも測定試料とし、抗酸化性を評価した。測定手法としては、ケミルミネッセンス(化学発光)法、ORAC法、HORAC法を用いた。
【結果】生試料(未調製試料)は各試料野菜ともに抗酸化性が認められ、特にナスは高い抗酸化性を示した。ナス生試料の化学発光法のIC50値は0.04%、ORAC値は2108μmol TE/100g、HORAC値は6032μmol GAE/100gであった。各試料を塩漬けにすると抗酸化性の低下傾向がみられたが、キュウリの場合、古漬けでORAC値が上昇した。しかしHORAC値は低い値を示したため、長期間の漬け込みでペルオキシラジカルへの効果は向上したが、ヒドロキシラジカルへの効果は減少すると推測した。また、無塩発酵漬物のすんき漬けが高い抗酸化値を示したことから、本来抗酸化性を持つ野菜が乳酸発酵することで抗酸化性が向上することが示唆された。発酵調味料に漬けた醤油漬け、味噌漬けは、化学発光法、ORAC法およびHORAC法で調べた抗酸化性が、塩漬け試料よりも高い傾向を示し、漬け種に用いた醤油や味噌などの発酵調味料の高い抗酸化性が影響を及ぼしていると推定した。