抄録
【目的】大規模な災害が発生すると、被災者は長期の避難所生活を余儀なくされ、ストレスがたまり、健康状態の悪化も懸念される。このような状態では、温かく、栄養バランスの良い食事はストレスの緩和、栄養状態の改善などに役立つと考えられる。そのためには地域の給食施設の栄養士が災害時にこのような食事を提供できるよう体制を整えておく必要があると考える。本研究では、栄養価の確保ができ、栄養バランスのとれた、できるだけ普段の食事に近い2週間の献立およびその調理工程表を作成した。さらに、作成した1献立の試作を行い、試食者にはアンケート調査を実施し、今後の課題について検討した。
【対象および方法】2008年11月に、本学学生43名とM町対象者70名に食事を提供し、味・量・温度などに関するアンケート調査を行った。摂取基準量はエネルギー2000kcal、たんぱく質60gとし、調理は屋外で行い、主食はα-米、熱源は2~3コンロとした。
【結果および考察】献立については間食を付けなければエネルギー量を満たすのが困難であった。また、調理器具や加熱源が限られているため同じ調理法の繰り返しで、料理がワンパターンになりやすく器具の使用や調理方法を工夫する必要がある。衛生管理については、調理前のミーティングや調理工程表に記入することで衛生管理の徹底ができた。アンケート結果については、味・量とも「良い」、「普通」の評価が大半であった。温度についてはスープが少し冷めていたという回答があり、「熱々で食べるものがほしい」という被災者の要望に応える必要がある。今後、地域の施設の栄養士と職員、ボランティアが協力して試作を行い、問題点を検討し、災害時に備えたマニュアル化が必要と考える。