抄録
【緒言】「こざきねり」は米を水に浸漬し,すり鉢でつぶして,水で煮ながら砂糖と塩を加えて練りあげ,食酢で調味した秋田県の特徴的な米加工品である。彩りとしてキュウリの薄切り,ミカンの缶詰,季節の果物などを添えて食するのが一般的で,いわば「米の酢の物」といえ,全国的にも珍しい食品である。こざきねりは風邪や食欲不振時の食事として,また,祝儀・不祝儀の取り回し料理としても人気があったが,これを家庭で作り,食するという年代は次第に高年齢化しており,若年層にはなじみの薄い食品となっているのが現状である。そこで本研究では,伝統食品としてのこざきねりの復権を願い,嗜好性を高める風味の改良と,賞味期限の延長を可能とする簡便な製造方法を確立し,新規の商品提案としてその技術を普及させることを目的とした。
【方法】こざきねりに関する調査をインターネット等にて実施した。原材料(上新粉,穀物酢,上白糖,食塩)を充填・密封後,温浴中で加熱調理した。また,レトルト殺菌装置による加圧加熱殺菌も行った。試作したこざきねりをSD法による官能評価を実施した。さらに,保存中での微生物検査,色調測定をそれぞれ実施した。
【結果】こざきねりは地域によっては「あさづけ」や「こなます」などと称され,その原材料の配合割合も異なることがわかった。試作による検討から,微生物的品質の向上のために原材料を容器充填後に加熱・調理(殺菌)する方法を確立した。官能評価から,滑らかさや口溶けの良さの一方で,酸味の強さや匂いなどの食酢の影響が大きいことも明らかとなった。こざきねりはpH3前後であるため,保存中での微生物制御が比較的容易であると判断された。