抄録
【目的】 今日、料理についての様々な情報が、マスメディア等から提供されている。一般の人々に対する調理についての知識情報提供に関する研究の一環として、大分県直入郡入田村(現大分県竹田市)で大正3年(1914年)に5日間に渡って行われた料理講習会で使われた冊子「和洋料理の枝折」に注目し、内容の分析を試みた。
【方法】 冊子「和洋料理の枝折」を手がかりに、調理の種類、内容を分析した。さらに冊子にしたがって調理を試みた。
【結果と考察】 岡山県小田郡在住の講師が、旧盆の5日間に渡って、91項目について講習を行った。(1)日本調理に関すること78項目、西洋調理12項目、中国調理1項目であった。日本調理が多いが、西洋調理の中には「赤ソース」、「ジャム」、「カツレツ」、「コロッケ」などという記述があり、市民の中にこれらの言葉が浸透しつつあることが推察された。(2)種類別では野菜に関するもの27.0%、漬け物17.0%、魚15.4%、菓子12.1%であった。講習が夏期に行われたことや、地の産物に注目していることが影響していると思われる。(3)野菜の中では調理法についての記述が89.5%あり、その内訳は馬鈴薯料理18.2%、豆類、野菜全般、瓜がそれぞれ17.6%であった。なお肉に関しては3項目のみであった。(4)魚については処理法、保存法に関するものが最も多く、川魚、たこ、鯛の順であった。(5)「馬鈴薯の蓮煮」「ゼリー製法」「豆腐にて鰻の蒲焼き法」「豆腐かまぼこ製法」を調理した。「豆腐にて鰻の蒲焼き法」「豆腐かまぼこ製法」は鰻蒲焼きやかまぼこの代用品と考えられ、調理の工夫が推測された。今後、さらに時代背景などとの関連を調査していく予定である。