抄録
【目的】安全でおいしい水への関心が高まり、食品業界のみならず家庭用の浄水器も広く普及している。アルカリイオン水も一般に利用されているが、調理に用いた報告は少ない。そこで水道水、浄水、アルカリイオン水を用いて穀類、肉類、海藻類など異なる食材の基礎的な調理を行い、仕上がりへの影響について外観・物性・嗜好面から検討した。
【方法】家庭用浄水器(OSGコーポ)を通した浄水(対照、pH7.1)を使用して、米飯、パン、茹で肉、昆布だし汁、寒天抹茶プリンを調製した。比較として、アルカリイオン水(pH9.1)、水道水(pH7.2)を用いて同様に調理した製品の力学試験、色差計測定、官能評価を実施した。
【結果】浄水とアルカリイオン水での炊飯は炊きあがり重量に有意差が認められないが、アルカリイオン水の飯は破断応力が大で、適度な硬さで官能評価でも高い傾向にあった。焼成パンではアルカリイオン水の方が有意に膨化し、圧縮エネルギーも有意に低かった。官能評価ではアルカリイオン水と水道水使用パンが浄水に比べ弾力が有意に大で、総合評価でも有意に好まれた。茹で肉は加熱90分まではアルカリイオン水使用が他よりも硬かったが、120分の長時間加熱では有意に柔らかくなった。水出しの昆布だし汁は水道水に比べアルカリイオン水使用が有意にL*値が低く、a*値とb*値が高くなった。加熱抽出だしの昆布残渣の破断応力は、アルカリイオン水使用が有意に低かった。寒天抹茶プリンではアルカリイオン水使用が最も硬く凝集性が低く、官能検査では浄水に比べて色が良いと評価された。以上アルカリイオン水の使用は他の水に比べて製品の物性や嗜好に好ましい影響を与えたが、その特性は食材により異なった。