日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a2
会議情報

口頭発表
プロテアーゼによる卵白ゲルの物性改変
*阿部 祥恵朝倉 富子江頭 和佳子西ノ明 瑞穂都甲 潔阿部 啓子舟木 淳子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】近年、高齢化の進行に伴い、咀嚼困難者でも安全においしく食べられる食品の研究が盛んになっている。われわれは、タンパク質ゲルをプロテアーゼ溶液に浸漬させることにより、やわらかくなめらかなテクスチャーに改変することを試みている。本研究では、卵白と、卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンを用いて検討を行った。
【方法】蒸気加熱した卵白ゲルを2 cm角に切断し、0.2%プロテアーゼ N「アマノ」G(PNA、天野エンザイム株式会社)溶液1.5 mlに4℃で96時間浸漬した。これを0.2%PNA浸漬卵白ゲルとした。PNAを用いずに同様に作製したものを対照卵白ゲルとした。また、オボアルブミン(アルブミン、鶏卵由来、和光純薬工業株式会社)を使用し、同様の方法で0.5%PNA浸漬オボアルブミンゲルを作製した。これらについてクリープメータ(株式会社山電)を用いた破断強度解析、SDS-PAGEによるタンパク質分解の観察を行った。PNA浸漬卵白ゲルについては官能評価(順位法)を行った。
【結果】0.2%PNA浸漬卵白ゲルの応力-歪曲線は、明確な破断点がなく延性流動を示し、対照卵白ゲルとは異なる波形を示した。PNA浸漬により卵白中のオボアルブミンが分解されたことがSDS-PAGEにより観察された。官能評価の結果、PNA濃度0.2%、0.05%、0.003%、対照の順にやわらかいと考えられた。0.5%PNA浸漬オボアルブミンゲルの応力-歪曲線は対照オボアルブミンゲルとは異なる波形を示し、明確な破断点がないという特徴を示した。SDS-PAGEによりオボアルブミンの分解が観察された。
著者関連情報
© 2010日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top