抄録
【目的】前報では、小学生のガスコンロ調理体験が達成感や集中力を高め、料理やその他への自信につながることを報告した。本研究は小学生の調理体験が家族の関係および家庭に及ぼす影響について調査することを目的とした。
【方法】小学生19名(4~6年生)に対して、2015年3月から月に1回、計5回の調理実習を行った。実習は毎回異なる献立で行い、調理方法だけでなく、ガスの火加減、省エネ、一汁三菜、地元の食材について説明し、それが家庭にどう伝わるのかを調査した。子どもの調理への関心や集中の様子を知るため、動画撮影と聞き取り調査を行い、実習直後にアンケートで、①実習の達成感、②火加減が上手くできたか、③前回の実習内容を家族に上手く伝えられたか、④家庭での自分の変化などを5段階で回答してもらった。また、料理の一部を持ち帰らせ家族にも試食してもらいアンケートに答えてもらった。さらに実習した料理を家で再度調理し、その写真を撮影してもらうとともに、アレンジした料理を作るよう協力を求めた。
【結果】アンケート調査の結果、小学生は調理体験をすることにより、①家庭での会話が増えた、②手伝いの機会が増えた、③料理とそれ以外のことにも自信がついた、④家族と食事する機会が増えた、と感じていた。実習中の楽しさや家族に食べさせたい、家でも作りたいという意欲は毎回高い評価であった。家族のアンケート調査から子どもたちが家で多く語った内容は、①鍋でご飯を炊いた、②煮干でだしを取った、③オムライスはピラフとオムレツで作ったなどであり、家とは異なる調理方法に関心を持ち家族に伝えていたことがわかった。