日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-39
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ポスター発表
岐阜県大野郡白川村(白川郷)における報恩講料理
堀 光代*山澤 和子*長屋 郁子
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キーワード: 行事食, 報恩講, 白川郷, 岐阜県
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抄録
【目的】岐阜県大野郡白川村(白川郷)では古くから浄土真宗の信仰が厚く、最大の行事である報恩講が11月~12月にかけて行われる。「報恩講」は親しみを込めて「ほんこさま」と呼ばれている。読経、法話の後に親戚・縁者と「ほんこさま」料理を囲み、1年の無事を感謝する。近年この行事も料理屋等で行うことが多くなった。そこで現在も「ほんこさま」料理を手作りする家庭の協力を得て、地域の食材の用い方や、料理の特徴等を記録に残すことを目的に調査を行った。
【方法】平成27年11月および平成28年12月に大野郡白川村に30年以上居住している60歳代女性の家庭で毎年行われている「ほんこさま」について調査を行った。料理の準備状況と当日の調理について観察と記録を行った。
【結果】「ほんこさま」料理の膳には「おはんべ」(焼き豆腐)の上に野菜や山菜の白和えをのせた料理を中心に豆腐が多く使用されていた。「豆腐は王様」と言われ、昔から豆腐は重要なたんぱく源であったことに由来していた。皿盛りは奇数とし、中央に果物を配し、天ぷらや和え物、煮物などを円周状に盛り付けていた。食材は、蕨・ぜんまい・こごみなどの山菜の種類が豊富であった。食材の中から特に大きく、形の良いものだけを「ほんこさま」用に残し、乾燥や冷凍を行い、保存していた。調査した家庭では10日位前に献立を決め、3日前から調理していた。調理はすべて1人で行い、配膳は家族や親戚、知人の手も借りて行っていた。料理は30種類程度の食材を用いて約30人分を用意し、各家庭への持ち帰り分も含めて十分な量があった。漆器と膳は昔からの専用のものを大切に使い続けていた。後継者の労力を考慮すると継承の困難さも感じられた。
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