日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2C-2
会議情報

口頭発表
静岡県山間地域の年中行事および伝統食で活用される在来作物の抗酸化能評価
在来作物の抗酸化能評価
豊泉 友康*大場 聖司*神谷 径明石川(高野) 祐子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】山間地域に位置する静岡県浜松市天竜区水窪町では,地域独特の在来作物が現在も栽培され,年中行事食や伝統食として活用されている.これらは食文化として定着している作物ではあるが,健康増進に寄与する機能性に関する報告はない.そこで,本研究では,抗酸化能を指標に上記の在来作物の機能性を評価した.
【方法】2016年に水窪町で収穫された在来作物6種類(地域での名称:ナンバン(在来系トウガラシ),トウゴロアズキ,キビ,水窪ジャガタ,赤ジャガタおよび早生ジャガタ(在来系ジャガイモ))を供試した. ナンバン,トウゴロアズキおよびキビは,自然乾燥されたものを,3種類のジャガタは凍結乾燥したものを,ミキサーで粉砕処理し,分析試料とした.各試料は,酢酸酸性含水メタノール(メタノール:酢酸:水=90:0.5:9.5)抽出し,親水性酸素ラジカル吸収能(H-ORAC)法およびFolin-Denis比色法を用いて,H-ORAC値および総ポリフェノール(総PP)含量を測定した.
【結果および考察】H-ORAC値(μmol TE(Trolox当量)/100 g乾燥重量)は,高い順にトウゴロアズキ:4743,ナンバン:3652,赤ジャガタ:2385,早生ジャガタ:2199,水窪ジャガタ:1390,キビ:1086であった.一方,総PP含量(mg(クロロゲン当量)/100 g乾燥重量)は,水窪ジャガタ:530,赤ジャガタ:475,早生ジャガタ:467,トウゴロアズキ:370,ナンバン:141,キビ:88であった.以上より,ナンバンおよびトウゴロアズキは,総PP含量に比べ,高いH-ORAC値を示すことが明らかとなった.またトウゴロアズキには,抗酸化能の高いアントシアニン類が多いと推察されるため,これによる関与と考えている.

著者関連情報
© 2017 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top