主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】近年,家庭で揚げ調理を行う割合が減少していることが報告されており,食用油の利用方法についても変化していることが考えられる。そこで,日常の食生活記録ではないものの「時代の半歩先に出る」というコンセプトで作られ食の変遷を示す資料であると考えられるNHK「きょうの料理」に掲載されたレシピから検証を行った。揚げ物の掲載レシピ数は減少傾向であり,用いられている油の種類は「バター」が減少し,「ごま油」,「オリーブ油」が増加していた1)。本研究では,それぞれのレシピの中で,油がどのような目的で用いられているのか,食用油の利用方法の変遷について明らかにすることを目的とした。
【方法】1990〜2015年に発刊されたNHK「きょうの料理」テキストを5年ごとに調査した。調査項目は,料理数,料理様式,それに用いられている油の種類,使用目的等とした。料理数は各テキストの索引に掲載されている数とし,油の使用目的は熱媒体,ルウ,製菓・製パン,ドレッシング・ソース,あえる,かける,その他とした。
【結果および考察】油の使用目的は,「熱媒体」が40〜50%と最も多かった。「ルウ」は1%前後であったが,減少傾向にあった。「製菓・製パン」は各年代2%前後であったが,各号の特集に影響されていた。「ドレッシング,ソース」等への利用は減少していたが,「あえる」,「かける」等は増加しており,風味を生かした使い方が増加していることが考えられた。「その他」は減少しており,特に中国料理における肉種に混ぜ込む,とろみをつけた後にごま油をかける,などの使用方法が減少していた。
1)安藤,伊藤:日本家政学会第71回大会(2019)