日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2D-9
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口頭発表
島根県産コシヒカリ(浜田市旭町坂本集落)の天日干しと非天日干しの食味評価
*石田 千津恵
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抄録

【目的】炊飯米の官能検査は,一般に日本穀物検定協会の食味試験実施要領に準じて行われる。給食経営管理の視点では,提供形態に合わせて献立一膳単位で評価することも重要である。一方,島根県においては仁多米に続く全国ブランドを目指し,浜田市旭町坂本集落では地域の活性化を図るため天日干しによる付加価値の付与を行っている。しかし,天日干しにかかる費用および労力の負担は大きい。そこで,食事サービス実習において天日干しと非天日干しの食味評価を行ったので報告する。

【方法】試料は2016年度産坂本集落のコシヒカリを使用した。調査は2016年11月〜2017年1月の食事サービス実習日の7回,S大学短期大学部健康栄養学科(1,2年生)および教職員を対象に実施した。アンケート項目のうち,米飯の「温度」「硬さ」「美味しさ」について5段階評価の結果を報告する。統計解析にはBellCurve for Excel(エクセル統計2016)を使用した。

【結果および考察】対象者は複数回参加者を含み述べ686名であった。天日干しと非天日干しについて,「美味しさ」に有意な差はなく,「硬さ」に有意な差がみられた。これは,7回のうち後半3回に実施したご飯一膳に両者を半量ずつ同時提供した場合のみであった。また,「温度」「硬さ」「美味しさ」の相関は,天日干しの場合「硬さ」と「美味しさ」の間に有意な負の相関が,非天日干しの場合「温度」と「美味しさ」の間に有意な正の相関がみられた。天日干しと非天日干しの美味しさに有意な差がみられなかったことから,非天日干しを使用することで作り手の天日干しにかかる負担を軽減し,給食経営管理においては食材料費のコストダウンを行えることが示唆された。

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