2003 年 11 巻 4 号 p. 173-182
含水率の異なるスギ培地を用いてシイタケ菌床の成熟化及び子実体形成について検討した.また,スギ培地へのリグニン添加の影響についても併せて検討した.スギ培地は,コナラ培地に比べて明らかに菌糸蔓延日数の遅れを示したが,含水率の増加に伴い日数の減少が認められた.コナラ培地では,菌床の成熟と共にブリネル硬さが増加したことから,ブリネル硬さが菌床の成熟化を示す一つの指標となりうることが示唆された.一方,スギ培地では,培養40日後まで硬さは増加したが,その後,緩やかに減少した.スギ培地では含水率を変化させても十分な収量が得られず,120日培養した培地でわずかに子実体が得られただけであったが,培地へのリグニン添加によって大幅に収量が増加した.これらのことから,シイタケ子実体形成にリグニン分解成分が関係している可能性が示唆された.