抄録
カザミノ酸-グルコース培地で25℃,30日間,暗所培養したナメコ菌糸体には,少なくとも4種類の酸性ホスファターゼアイソザイムが存在することが示唆された.このうちの一つを硫安分画,DEAE-Toyopearl陰イオン交換クロマトグラフィー,DyeMatrex Red-Aアフィニテイ-クロマトグラフィーにより単一に精製し,性質を調べた.本酵素の分子量はSDS PAGEで分子量は42,000,ゲルろ過で44,000と算出されたことから,本酵素はモノマー酵素であると考えられた.酵素反応の最適pHは5.9,最適温度は40℃,等電点は5.1であった.様々なリン酸エステル化合物を用い基質特異性を調べた結果,本酵素はグルコース-1-リン酸に高い特異性を有することが示された.本酵素の活性はHg^<2+>,モリブデン酸アンモニウム,SDSにより阻害された.