茶業研究報告
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産地別にみた烏龍茶の香気特性
竹尾 忠一
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1984 年 1984 巻 60 号 p. 50-53

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抄録

中国,福建省,台湾省産の鳥龍茶の香気成分組成をしらべた。
福建省産の色種,水仙,鉄観音,黄金桂および台湾省産木柵と,台湾省産文山,北埔との間には,香気成分組成に特異的な差が認められた。即ち前者は発酵度の軽度の包種茶系の茶でこれにはジャスミンラクトン,インドールが検出されたが,後者の発酵度の進んだ鳥龍茶系の茶には両成分が検出されなかった。また発酵度の進んだ茶は発酵度の進んでない茶よりも,高沸点部の芳香成分量が多かった。
次に半発酵茶は焙焼香気成分である。1-エチルピロールー2-アルデヒドが香気中に検出され,火香の強い茶ほどその量は多かった。
産地別の茶香気中のテルペンアルコール組成をみると色種,水仙,鉄観音はリナロールの組成比が高く,台湾省の文山,北埔はゲラニオールが多く含まれていて,それぞれ種間特性を示していた。
最後に本試験に用いた茶は,三井農林株式会社,株式会社伊藤園より恵賜されたことを記して謝意に代える。

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