理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CO849
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運動学
股・膝関節周囲筋筋力と閉運動連鎖下肢出力の関連
*岡田 育子松尾 高行河村 顕治
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抄録
【目的】2つあるいはそれ以上の関節運動が同時に行われた場合には、各関節をとりまく1関節筋及び2関節筋の相互関係が極めて複雑となる。閉運動連鎖下肢伸展力 ( レッグプレス ) は、股関節、膝関節及び足関節が関与し、多数の筋が複雑に作用しあい発揮される力である。そこで、本研究は、開運動連鎖での股関節、膝関節屈曲・伸展筋力の計測を行い、閉運動連鎖下肢出力との関連を検討した。【対象および方法】対象は、健常若年成人男性 20 名 ( 20.7 ± 2.0 歳 ) である。股関節および膝関節トルクの計測は、CYBEX 6000 を用いて計測した。まず、角速度を 60 deg / sec に設定し等運動性股関節、膝関節屈曲・伸展筋力を最大努力下で3回計測した。次に、等運動性計測より最大値が計測された角度での等尺性股関節、膝関節屈曲・伸展筋力を最大努力下で3回計測した。閉運動連鎖下肢伸展力の計測は、座位で骨盤を固定した上で、膝関節屈曲 60 度、足関節背屈 10 度の肢位で行った。計測機器は、大腿四頭筋筋力評価装置 ( オージー技研 ) に3軸ロードセルを底面中央に設置したフットプレートを装着した機器を用いた。足部の矢状面での等尺性閉運動連鎖下肢伸展力とその方向 ( 以下、足部出力方向 ) を計測した。この時、矢状面で行われる運動を側面よりデジタルビデオカメラで撮影し、この画像から得られた各関節座標とロードセルから求められた閉運動連鎖下肢伸展力より下肢3関節のトルクを算出した。【結果】股関節伸展トルクは 269.5 ± 45.9 Nm 、屈曲トルクは 176.9 ± 33.8 Nm、膝関節伸展トルク 248.5 ± 54.7 Nm 、屈曲トルクは 111.1 ± 22.8 Nm であった。また、閉運動連鎖下肢伸展力は、2110.0 ± 366.3 N 、足部出力方向は、32.1 ± 5.5 度で、下腿軸に対し股関節後方から足部へ向かう方向となり、閉運動連鎖股関節伸展トルクは 0 以下となった。閉運動連鎖下肢伸展時の足部出力方向と開運動連鎖でのH/Q 比の間には高い相関が認められた。画像処理から求められた閉運動連鎖膝関節伸展トルクの値は、388.4 ± 11.7 Nmとなり、開運動連鎖膝伸展時の 1.4 倍以上のトルク値を記録した。また閉運動連鎖下肢伸展力 ( N ) と膝関節伸展トルクとの間にも高い相関が示された。【考察】閉運動連鎖下肢伸展力の大きさと開運動連鎖膝伸展力が相関し、閉運動連鎖足部出力方向と開運動連鎖でのH/Q比が相関することから、閉運動連鎖での下肢伸展力の大きさと方向だけを正確に評価すれば膝関節周囲筋の評価が可能である。この知見は、前十字靱帯損傷患者や変形性膝関節症患者のように膝関節の不安定な被験者の評価において、膝関節に不安定性を生じる開運動連鎖の評価を行わずに、閉運動連鎖で安全に膝関節周囲筋の評価が行えることを示唆している。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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