理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RP200
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教育
学生における呼吸介助手技の習熟度
*真寿田 三葉吉野 貴子滝澤 恵美村井 みどり
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抄録
[はじめに]呼吸障害に対する理学療法は、換気状態の改善を図ることが可能であり、その際に用いられる徒手的治療手技は臨床的に効果を挙げていることが報告されている。この中で呼吸介助手技は最も基本となる手技である。我々はこの手技を習得するため、週1回1時間の実技練習を主とした勉強会を開催している。今年度は3年生有志を対象に、2002年4月から10月までの半年間開催した。今回、勉強会に参加した学生が呼吸介助を施行した際の一回換気量の変化を測定し、学生の呼吸介助手技の習熟度を検討したので報告する。[勉強会の概要]勉強会には、平均15名の学生が参加し、指導する教員は4名であった。内容は、始めに胸郭へのタッチの方法、マッサージ、胸郭の可動性の確認、次いで伊藤直榮およびK.Waldemarの提唱している各種呼吸介助手技の練習を行った。今回、測定時の手技として選んだものは最も練習時間の長かった3手技である。各種手技は教員のデモンストレーション後、学生同士が術者と被術者を交代しながら実技練習を行った。[換気量測定の方法]対象は毎週勉強会に参加していた本学3年生、9名(男性4名、女性5名)である。対象者は、1名の32歳健常女性に対し、1)背臥位における下部胸郭への呼吸介助(背臥位下胸部介助群)、2)背臥位における上部胸郭への呼吸介助(背臥位上胸部介助群)、3)座位における上部胸郭への呼吸介助(座位上胸部介助群)の3つの介助手技をそれぞれ10回施行した。一回換気量はMorgan社製ベンチマーク式エクササイズテスト装置を用いて測定した。介助手技を加えた後には次の測定に影響を与えないように5分以上の間隔で測定を行った。各介助手技前の安静時と3つの介助時の1回換気量について、被験内要因による1要因分散分析を行った。下位検定はpost hoc testを行い、有意水準は5%とした。[結果]安静時一回換気量の平均値は、166.59±42.23mlであった。介助時の一回換気量は、背臥位下胸部介助群では334.52±106.65ml、背臥位上胸部介助群では345.24±79.67ml、座位上胸部介助群では419.95±108.88mlであり、それぞれの介助群で安静時よりも有意に増加していた(p<0.05)。手技別では、背臥位下胸部介助群よりも、座位上胸部介助群の方が有意に増加していた(p<0.01)。[考察]今回の結果は、伊橋らによる理学療法士の呼吸介助手技が肺気量に与える影響の報告と同様の結果であった。今回対象となった学生は、一回換気量の増加という目的に対して施行する呼吸介助手技をある程度獲得したと考えられる。しかしながら、臨床で最も用いられる背臥位下胸部介助法に関しては、更に指導および練習方法に工夫が必要であり、胸郭に加える圧を均等にすること、介助方向に応じた術者の重心移動の獲得が今後の課題と思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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