抄録
【はじめに】
回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)はADL能力の向上による「寝たきりの予防」と「家庭復帰」を目的とした病棟である。「寝たきり」の大きな原因としては「廃用症候群の悪循環」があげられ、また、脳卒中患者においては身体活動量の低下による循環機能、骨格筋の廃用性変化、体力低下が多数報告されている。そこで今回、身体活動量の向上を目的として導入したマシントレーニングが脳卒中患者にどのような効果をもたらすのか脚伸展筋力を用いて検討を行ったので報告する。
【対象と方法】
当院回復期リハ病棟に入院していた下肢Brunnstrom stage4以上、Functional Independence Measure(以下FIM)の移動動作(歩行)5レベル以上の脳卒中片麻痺患者14名(男性11名、女性3名、平均年齢67.1±12.2歳)を対象とし、マシン導入前、理学療法のみ施行した群(以下導入前群)8名とマシン導入後に理学療法とマシントレーニングを組み合わせた群(以下導入後群)6名に分類した。評価項目はFIM移動動作(歩行)と三菱電機(株)社製StrengthErgo240により測定した麻痺側、非麻痺側の脚伸展筋力とし、初期評価は発症から90日以内(平均63.6±22.8日)、最終評価は初期評価の4週間後とした。なお、導入後群のマシントレーニングは初期評価日から開始し、両群の理学療法は屋内外歩行等のADL訓練を主体に行った。以上の条件のもと同一群内と両群間の比較を行った。
【結果】
脚伸展筋力の最終測定値は両群とも麻痺側、非麻痺側のいずれも初期測定値に比較して有意に高値を示したが、両群間の比較では有意差を認めなかった。FIM移動動作(歩行)レベルについては、同一群内、両群間ともに有意差を認めなかった。
【考察】
下肢筋力は移乗移動動作等のADLの関連因子であることが知られている。特に脳卒中患者においては麻痺側、非麻痺側脚力ともにADL、歩行能力との関連性が高いと思われるため、今回の結果からはマシントレーニングの導入が脚伸展筋力に対して有意な効果とは言えなかったが、マシントレーニングの負荷量や実施時間、頻度の見直しを行い、再度その効果を検討していく必要があると思われた。