理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 167
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骨・関節系理学療法
整形外科術後クリティカルパス改訂に伴う運用方法の見直し
木口 和明上村 恭生前本 英樹山岡 香穂里岡嶋 啓一郎
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抄録
【はじめに】
当院は、更なる医療の質、リスク管理の向上、医療スタッフ・患者との情報の共有化、患者のモチベーション向上などを目的にクリティカルパス(以下パス)の改訂を実施した。そのため短い入院期間でもこれまで以上に安全かつ患者の満足度を高めるためのパスが必要であった。そこで従来パスの問題点を見直し、改訂を施したパスを作成して平成18年1月より導入した。今回新しく作成したパスとその運用方法についてリハビリ部門の立場から実際のメリットを交えて紹介する。
【改訂過程】
1.術後リハビリテーションにおける従来パスの問題点の明確化、2.整形外科スタッフ(医師、看護師、PT等)間でのパス内容および運用方法の検討、3.スタッフ用パスと患者用パスの改訂
【問題点】
1.患者用パスが十分に機能していない。2.PTから患者へのリハ状況を踏まえたADL範囲・自立度は口頭でのみ指示していた。そのため、患者自身が指示内容を忘失し、許可されているADL範囲・自立度を守れないことが多々見られた。3.病棟へのADL範囲・自立度の指示はPTが看護師に訓練実施予定表に記載して渡したり、口頭で伝達していたため、指示受けしたスタッフで情報が留まり、その他の医療スタッフまで行き届かないことが多かった。4.患者自身がリハビリの進行具合や退院(転院)の目安が分からず、訓練の進行が滞ったり、転院への心構え・準備が不十分なことが多かった。その都度リハスタッフが説明する手間が必要であった。
【改善点】
1.患者用パスをリハビリ時に患者自身に持参させ、その日毎のADL範囲・自立度をPTが直接記入していく形をとった。2.患者に渡しきりになりがちなパスを日々使用することで、患者が術後の大まかな予定、転院時期を常に再確認できるようにした。3.スタッフ用パスにもPTが毎回リハビリ終了後にADL範囲・自立度を記入し、それを他の医療スタッフが確認できるようにした。
【考察】
パスは単に患者をスケジュール通りに退院させるために用いるのではなく、医療者と患者双方にとってメリットがあるツールでなければならない。当院の新しいパスではリハビリ部門での患者の術後回復過程に関する情報をスタッフ間や患者で共有することが可能にしたことから、安静度や可能なADL、患肢への荷重制限など、誤ると医療事故につながる情報の管理が容易になった。また患者自身がADL範囲・自立度を常に確認できるようなり、スムーズな訓練の進行が得られたと思われた。加えて患者に急性期病院としての当院の役割を認識させ、どの時点まで回復すれば転院しなければならないかを意識してもらうことで、転院に向けての心構えを事前に取れるようにもなった。実際、術後入院日数が短縮した患者もアクシデントもなく円滑に転院が実施できている。
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© 2008 日本理学療法士協会
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