理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-37
会議情報

ポスター発表
微振動刺激が人工膝関節全置換術後急性期の膝関節機能に与える影響
ランダム化比較試験
諸澄 孝宜田中 友也瀬川 佑樹安東 映美中村 皆美山本 尚文池田 光佑美崎 定也小山 貴之三森 由香子佐和田 桂一杉本 和隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】近年,皮膚への振動刺激が筋紡錘の興奮性を高めることが注目されている.三森らは第46回理学療法学術大会において,微振動刺激装置を貼付し膝伸展筋力が増大すると報告した.しかし,先行研究では健常人を対象とし,術後急性期患者に対する効果は報告されていない.そこで,本研究では人工膝関節全置換術後(TKA)患者に対する微振動刺激が筋力や関節可動域(ROM),歩行能力に及ぼす影響について検討した.【方法】本研究で使用した微振動刺激装置(FeedBackDisk:FBD,BLAF社製)は円形(直径30mm),薄さ8mm,重量10gであり,体表に直接貼付し,人体が感知できない程度の微振動刺激(周波数212Hz,振幅0.002mm)を与えて筋収縮促通を目的とする機器である.対象は2011年8月以降,当院で変形性膝関節症により初回片側TKAを施行した症例とした.除外基準は下肢の手術既往,認知症,神経疾患を有する症例とした.対象者をFBD刺激群(FBD-on)と非刺激群(FBD-off)に乱数表を用いてランダムに割り付け,全症例の術側内側広筋直上の皮膚に貼付した.FBDを着衣で覆うことで対象者がon-offを視認することを防ぎ,第三者がFBDを貼付することで,対象者および担当理学療法士を盲検化した.FBDは1日2回(20分/回),術後3週経過時まで貼付することとした.FBD貼付時は両群ともに大腿四頭筋が関与する運動を20分間実施させ,その後,FBDを取り外してTKAに対する標準的なリハビリテーションを実施した.評価時期は術前と術後3週経過時とし,評価項目は術側膝関節ROM,膝伸展トルク,Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)による疼痛評価,Timed"UPand GO”test(TUG),両側膝関節周径とした.膝伸展トルクはハンドヘルドダイナモメーター(μTas F-1,ANIMA社製),膝関節周径は膝蓋骨直上と膝蓋骨5cm上の2部位でメジャーを用いて測定した.統計解析は各項目について各群の術前後でWilcoxonの符号付き順位検定を行い,術前後の変化量を用いて2群間でMann-whitneyのU検定を行った.有意水準は5%とし,SPSSver11を使用した.【倫理的配慮、説明と同意】本研究は当院倫理審査委員会の承認(承認番号:1号)を得て,また,日本理学療法協会の平成23年度研究助成を受けて実施した.なお、対象者に事前に研究の趣旨を説明し,同意を得た.【結果】25名が解析対象となり,FBD-on13名(平均年齢72.5±標準偏差9.6歳,BMI26.4±4.3kg/m²),FBD-off12名(71.2±8.2歳,27.5±4.4kg/m²)であった.術前は全項目で群間差は認めなかった.術前後比較では両群ともにWOMAC(on術前15.7±4.0,on術後10.4±2.8,off術前13.9±4.0,off術後9.8±3.0),伸展ROM(-10.8±10.0,-5.0±5.4°,-13.3±7.5,-8.3±5.8°)が改善し,術側膝伸展トルク(0.68±0.34,0.45±0.17 Nm/kg,0.84±0.35,0.57±0.26Nm/kg)は低下した.屈曲ROMはFBD-on(125.0±12.6→110.0±8.6°)で低下した.周径は両群とも術側で有意差は認めず,健側膝蓋骨直上(39.9±2.7,38.5±2.7cm,39.5±3.1,38.5±3.2cm),健側膝蓋骨5cm上(41.4±2.7,39.7±3.1,42.0±2.9,40.8±3.2cm)で有意に低下した.各項目の変化量について,全ての項目は2群間で有意差を認めなかった.【考察】三森らは健康成人の膝伸展筋力に対する短期効果を報告したが,本研究ではTKA術後3週のROM,膝筋力,TUGに関して,FBDによる微振動刺激の効果は認められなかった.この原因として,術後急性期は腫脹による関節原性筋抑制,痛み刺激による伸筋のγ運動ニューロン抑制など手術侵襲による炎症反応の影響が微振動刺激による筋収縮促通効果より大きかったためと考えられる.今後はFBD使用に際して,頻度や対象となる病期などの検討が必要であると考える.【理学療法学研究としての意義】本研究ではTKA後急性期の症例に対する微振動刺激の効果は認められなかった.しかし,微振動刺激が人体に及ぼす影響は未知の部分も多く,今後,使用に関する判断基準の一助となることが期待される.
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top