抄録
本研究は,潜在的測度であるImplicit Association Test (IAT; Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) と顕在的測度である質問紙の両者を用いて,27名の参加者に対し,潜在的不安と顕在的不安を測定した。それぞれの尺度の得点によって,参加者を潜在的・顕在的不安それぞれについて高・低群に分割し,従属変数となるパーソナリティ (自尊心,抑うつ・不安) に対して2×2の分散分析を行った。いずれの分析でも交互作用は有意ではなく,本研究の結果からは,潜在的不安と顕在的不安に不一致を示す群に,際立った特徴はみられなかった。しかし,自尊心に対しては潜在的不安の主効果のみ有意になるなど,不安IATを用いた潜在的不安の測定も意義があると思われる結果が得られた。