日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
ノート
野菜の加熱にともなうグアニル酸の生成
堀江 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 5 号 p. 346-351

詳細
抄録
 グアニル酸がグルタミン酸の味を強めることはよく知られている。何種類かの野菜(ナス,トマト,ニンジン,ダイコン,ネギ,ホウレンソウ)の蒸し処理によりグアニル酸が生成することを見いだした。ニンジンジュースへのグアニル酸の添加(蒸し野菜に含まれる濃度レベル(10 mg/l))をパネルは官能的に判定できた。蒸し野菜に含まれるグアニル酸はグルタミン酸のうま味を強めることにより,味に寄与することが示唆された。トマトのオーブン加熱は呈味成分を濃縮し,グアニル酸も生成した。焼いたトマトのうま味は,濃度の増加したグルタミン酸とグアニル酸の間の相乗効果のために,生のトマトよりも非常に強いものとなる。グアニル酸含量は調理野菜の味研究における重要な指標となるものと考えられる。
著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top