抄録
本論文は,ピエール・ペランがオペラについて論じた『トリノの大司教に宛てた手紙』(1661 年出版),および,彼に「オペラ・アカデミー」設立を許可した国王の『特許状』(1669年)を通して,フランス・オペラの誕生に際してペランが果たした役割とその意義について考察したものである。
ペランの『トリノの大司教に宛てた手紙』は,イタリア・オペラを痛烈に批判し,断続するオペラ論争の端緒となった文書であると考えられてきた。しかしその内容の考察から,ペランがイタリア・オペラそのものを敵対視していたのではなく,フランス人に適した自国のオペラを確立するために,変更すべき点について述べた文書であることが明らかになった。
また,2 つの文書の考察から,当時のフランス社会においてオペラがどのような存在であったかということも理解されるにちがいない。