応用生態工学
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事例研究
3 次元レーザースキャナーを活用した絶滅危惧植物オニバスの葉群分布の定量化
安藤 義範清久 笑子千田 良道大知 寿徳山本 佳華波田 善夫
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2021 年 23 巻 2 号 p. 309-317

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抄録

浮葉植物の絶滅危惧種オニバスの保全に資するため,3 次元レーザースキャナーによる計測を行った.調査地は岡山県を流れる一級河川の百間川であり,2 ヶ所のオニバス群落分布地を調査対象とした.調査は 2017 年 9月13 日に実施した.調査地点の一つである人工ワンドでは点群データの集合によってオニバスの葉群分布,葉の形状が可視化できた.UAV 撮影によるオルソ画像ではマルバヤナギの枝に上層を覆われたオニバスが視認できなかったことから,3 次元レーザースキャナーは,上空から死角となる場所の計測に有効であった.もう一つの調査地点である二の荒手改修地(百間川の治水施設)では,オニバスを囲んでヒシが密に生育しており,平面的な可視化では植物高の差が小さいため,オニバスの葉群のみを抽出することが難しかった. 本調査では,これまでに事例のある抽水植物以外に,浮葉植物の計測にも応用できることを明らかにできた.

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