電気泳動
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論文種目:一般論文
非変性2次元ゲル電気泳動法によるネイティブタンパク質の分離分析法の展望と課題
島崎 洋次福家 麗徳田 深咲
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2023 年 67 巻 2 号 p. 71-75

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抄録

ミクロ非変性2次元電気泳動法(2DE)によるネイティブタンパク質の分離では,両性電解質の配合やアクリルアミドのゲル密度の調整により,分離の最適化が必要である.両性電解質pharmalyte pH 3–10を5%とpH 5–8を1.3%で配合したとき,マウス肝臓由来のソルビトール,乳酸,およびリンゴ酸脱水素酵素の等電点分離が可能となった.また,サイズ分離の際のゲル密度を6.6%にし,リンゴ酸脱水素酵素とカルボキシルエステラーゼ(CE)活性を連続的に調べることで,この2つの酵素が2DE上で異なる位置に分離されていることがわかった.さらに,トランスフェリンとCEの複合体を2DE分離後,リバーシブル染色とCE活性を連続的に調べることで,その複合体が2DE上の同一位置に得られた.以上より,この非変性2DEによるネイティブタンパク質の分離はタンパク質相互作用の解析を行う上での第一歩になると考えられる.

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© 2023 日本電気泳動学会
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